アニメ・漫画

これから新しい漫画を読み始めるなら「葬送のフリーレン」がオススメ

とある方が言いました

「今の人気マンガはの三漢字」

と。

はもちろん鬼滅の刃です。
残念ながら私にはこれっぽっちも刺さらなかった作品なのですが、アニメ・映画も含めて社会的ブームで日本を代表する大ヒット作品になりましたね。

は鬼滅の刃と同じく週刊少年ジャンプ連載の呪術廻戦です。
第二の鬼滅とか言われてるそうでその肩書きの是非はともかく、魅力的なキャラが多く夢中になっている人もたくさんいる作品ですね。
自分の好みとは違いますがジャンプはやっぱこういう王道バトルを扱わせたら天下一なんだろうなとも思いました。

は今回の本題である葬送のフリーレンです。

こちらはジャンプではなく週刊少年サンデーで連載されている漫画で2021年5月時点で既刊4巻です。
今から読み始めても余裕で追いついちゃう巻数です。
私的にはの中で頭20個くらい飛び抜けて面白いと感じたのがこの「葬送のフリーレン」で、いま「なんか最近の漫画を読み始めたいけどなんか良いのないかなー」って人に私がオススメすべきマンガは葬送のフリーレンだなと感じました。

ネタバレなし(本の帯や公式の作品紹介にある程度の世界観バレはあります)で魅力を紹介してゆきます。

世界観や作風

魔王を倒した勇者一行のその後を描く後日譚ファンタジーなので騎士や魔法やモンスターが出てくるようないわゆる西洋RPG的な世界です。
ゲームやアニメや漫画が好きな人であれば何の抵抗もなくすっと入っていける世界観なのですが、世界観の細部までの作り込みがすごいのでテンプレ的なペナペナさがないのが良いですね。

一番すごいなと感じているのがこの作品を見せる視点です。
魔王を倒した勇者一行は人間、ドワーフ、エルフの混種パーティになっています。
この世界ではエルフは超長寿、ドワーフはエルフよりは短いけど人間よりは長寿、人間は短命(私たちの世界の人間と同じくらい)という設定になっています。
作品タイトルにも含まれている主人公フリーレンエルフであり、そのエルフから観た時間が主点になっています。
寿命の長さによって時間が流れる速さの感じ方や時間の大切さにギャップがあり、一番長寿であるエルフは仲間たちが先に天寿を全うして死んでゆくのを見守っていくそんな世界なんですね…

作品の肌触り的にはダンジョン飯を連想する感じで、「種族ごとの価値観の違いやキャラごとの個性をクスッと来るようなコミカルさで描いている」というものです。

葬送のフリーレンは「生命と時間の流れと思い出」のようなものがテーマになっている作品なので内容が重くなりすぎるかと思いきや、このコミカルなタッチが良い緩衝材になっていて作品の世界の魅力にぐんぐん引きずり込まれてゆきます。
ストーリの本筋やメインテーマはダンジョン飯とはベクトルが違うのですが、読み進めていくうちにキャラの個性がわかってきてキャラのことがどんどん好きになるという現象が肌触りが似ているという点でしょうか。

全体のストーリの見せ方は「今やってること」と「回想」が入り乱れる感じなのですが、他作品にあるような「回想長いな!」って感じはなく「小出しにしながら必要な部分だけ見せてくる」という感じがあります。
このバランスが絶妙なおかげでキャラのことをより良く知れてより好きになっていくという流れが生まれてるんです。

キャラが魅力的で描き込みがすごい

まず1巻の冒頭の描き込みがすごくて「拡大できる電子書籍や大判前提の作画をコミックスサイズで見せようとしてるのか…地獄かな…」という印象でした。
書き込みに対してコマが小さすぎてびっくりしましたね…
ただ、これはすぐにコミックスでも苦痛のない作画になってくれたので一安心です。

葬送のフリーレン 1巻の最初のページより

絵的にくどくないのにキャラがみんな魅力的で描きわけもしっかりできているのが好印象です。
キャラが作品の中で個性を持ちながら生きているので、読みながら「アニメ化する時にこのキャラはあの声優さんでやって欲しいな」とか思っちゃうんですよね…
声優さんに詳しい人は漫画を読んでるうちにその声優さんの声で勝手に脳内再生されることでしょう。

読むときに是非注目して欲しいのが背景や小物の描き込みですね。
これらのデザインもしっかりと練られていて、道具などに関しては「このように動くものだからここにはこれが必要」みたいな考察が行われた上でのデザインになっています。
なにか参考資料を観て描き込んでいるだけだと「世界観の統一感を持った細かさ」は出せないので、これは製作側でしっかりその辺りの掘り下げも行われているからかなと感じました。

葬送のフリーレンより 生活感や物の役割がしっかりと伝わってきます

刺さってくる「いろいろな形の優しさ」

葬送のフリーレンはじわっときたり泣けたりするシーンも多いんです。
葬送のフリーレンを読んだ人同士で語ってみると、心に刺さっているポイントや号泣ポイントがわりとみんなバラバラなんですね…
この作品は「いろいろな形の優しさ」散りばめられた作品だと思い、読み手にとってそれを優しさと感じるものもあればまだ理解が追いつかないものなどもあるからだと思います。
自分の経験などを重ねられる部分も多いので、経験の差によって感じるポイントも変わってくると思います。
そんな感じだから1回めに読んだ時と2回めに読んだ時で変わってくるシーンも多そうだし、5年後に読んだ時と10年後に読んだ時で刺さるポイントも変わるかもしれません。

作品に多く散りばめられている優しさに今は気づかなくてもこの先気づくものもあるかも知れません。
これは手元に置いておいて何度でも読みたい作品かもしれませんね…

別れが推測できてしまう切なさと寂しさ

作品の中ではじわじわと(時にガッツリと)時間が流れていて、ほぼ毎話冒頭で「勇者の死から○年後」という表記があります。

葬送のフリーレンより 毎話では無いけどお話の冒頭に結構頻繁に出てくる時間経過に関する表記

エルフの時間感覚からみると人間と出会ってあっという間の短い間に別れることもあるし、老衰で天寿を全うする人との別れも多いのです。
この冒頭の表記は「誰がどうなるのかまではわからないけど仲間との別れのカウントダウン」のように見えてしまい、ゆるいくコミカルなシーンに切なさや緊迫感のようなものが勝手に加えられてきます。
しかし、登場人物は良い歳の取り方をした人が多いので、成長して年老いていくのをみるのが楽しみだったりもします。
読んでいる時にずっといい意味でのソワソワ感が付き纏ってくるのもこの作品の大きな魅力だと思うし、とにかく見せ方が上手だなーって思うポイントです。

いったんバトルものに寄りそうだけど本質はズレないと思う

ストーリはしっかりあるのですが、序盤は1話ごとに区切りが良いような構造になっていて回想シーンなどもその時の話に必要なものが必要な部分だけ出てくる感じなので読みやすいです。
序盤はバトルシーンも1話完結だったりが多くて長尺のバトルが苦手な人も読みやすいと思います。
1話完結っぽくなっていないお話でも2〜3話でひと段落するのでとにかく読みやすいですね。

4巻の最後はお話の途中で「5巻に続く」みたいな流れになっていて、現時点では「あー、やっぱこれから長尺バトルに突入するのかな」って印象を持ちました。

ただ、作者の方はストーリや各キャラのバックグランドなどしっかりしっかり作り込んでおられるので、バトルものに寄ったとしても本質的なズレはなさそうに感じます。
作者の方が無意味なバトルには重きを置いていないような感じに見受けられます。
なので、逆にゴリゴリのバトルものを期待している人は肩透かしを食らうかも知れません…

個人的に「人気が出たら作品の連載がひたすらだらだら続いてサイドストーリーにばかり脱線して話も進まなくなる」みたいな作品は苦手なので、そういう方向に倒れないことを願っていますがとりあえず5巻、6巻とこの先しばらくはそういう心配を持たずに楽しめそうかなと思いました。

これから新しい漫画を読み始めるなら
「葬送のフリーレン」がオススメ

本当ならこういうのは最後まで読んでからおすすめしなきゃならないんでしょうけど、「これは多少ズレても良作には間違い無いな」っていいう確信があったのと、これからどんどん人気が出そうでもっと話題にもなりそうな作品なので早めにご紹介しました。

これから何か新しめの漫画を読み始めるなら「葬送のフリーレン」がオススメです!

ネットやアプリでも読めます → サンデーうぇぶり

こねこ星人

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