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[レビュー]HG 1/72 メイレスジョウガン (境界戦機)

アニメに関してはなかなか厳しい意見も多い「境界戦機」より、レジスタンスの鉄塚ガシンが搭乗するメイレスジョウガンをご紹介します。
アニメは正直なところ観る人を選ぶ作品になってしまっているようですがプラモデルに関してはなかなか面白みがあり、ガンダム系プラモデルに飽き始めている人には楽しめる要素も多いかもしれません。

発売元バンダイスピリッツ
シリーズHG
価格2,640円(税10%込)
発売日2021年11月13日
対象年齢15才以上

以前ご紹介した「HG 1/72 特大型装甲特殊運搬車」と同時発売され、私はほぼ定価で購入したのですが今はAmazonでの値引きもかなり太めになっていますね。

HG 1/72 特大型装甲特殊運搬車のレビューはこちら

まず、この膝立ち姿から。
右腕が隠れていて見えにくいのですが、このポーズを見ただけでこのキットの優秀さを察せた人はかなりのプラモレベルの方だと思います。

腰が細くて脚は太ももよりも脛が一段後ろに下がっている感じで、シールドのような前腕部に二の腕と手首がちょこんと接続されているような特殊なデザインです。
ぱっと見は普通の人型ロボットなのですがよくみると独特な形状になっている部分が多いです。
これ、デザイン的に写真に収める角度が難しくて写真だとデフォルメっぽい体型に見えちゃうかもしれませんが実物はそんなことない感じです。

「工業デザインの側面から新たな視点を取り入れることで、関節構造など今までのロボットプラモデルとは違うアプローチで再現」というのがテーマが思い切り生きていますね。

立ち姿の写真はこっちの方がわかりやすいかも。

巨大なリアアーマーがかなりの存在感で背中が細く迫り出しているのも目に付くポイント。
背中の中央には二つほど横向きスリットがあってハードポイントになりそう。(カメラと撮影環境の調整が悪くて画質が悪いのをお許しください)

黄色い部分は別パーツで色分けがバッチリ、脇の近くにあるような金色部分はホイルシールでの補完です。

パーツは肉厚で構成はちょっといいHG準拠という感じなのですが、頭部は色分けの細かさもあってRG並みに小さなパーツもちらほら。
しかし、そのおかげで塗装しなくてもかなり細かな色分けが再現されます。

小さいパーツではありますがメインカメラのクリアパーツが複雑な形状をしているおかげで光が入った時に複雑な透過を見せてくれます。

てか、このキット、油断しながらぼーっとみてるとなんとなくバーザムを連想しちゃう…

胸から脇にかけてのシリンダー(金色シールを貼ってるパーツ)は腕の前後に合わせて伸縮するのでここは動かしていて楽しいギミックです。

デザイン的に優れている点として、胸が新幹線のように先が狭張ながらせり出ていることで、両腕をクロスさせるように角度をつけながら前にしっかりと伸ばすことができるんです。

本体の形状と腕の可動範囲のおかげで、シールドに仕込まれているナイフの抜刀アクションも余裕です。

シールド裏にはワンパーツのナイフを収納できます。

ガンダムのデザインに慣れていると腕の部分はかなり奇抜なデザインに感じるかも。
二の腕から手首までが一直線になっているのではなく、前腕パーツを介してブロックが互い違いに接続されている感じです。

肘を90度以上曲げるためには手っ取り早い構造ですし、手首だけを90度以上前に出すこともできる点も人型にこだわらなければ効率的なデザインだなと思います。

手持ち武器のお尻の方が手首と二の腕のブロックの隙間に綺麗に収まるようになっているのも構造的に面白いです。

よく考えられているなぁ…

脚部の構造はなかなか個性的です。
太ももはフロントアーマーやサイドアーマーがないデザインなので邪魔するものがなくぐるんぐるんと動きます。
太ももから膝がL字のような構造になっているので膝は1軸ながらも二重関節で曲がっているように見えますね。
それに加えて足首の付け根は長めに取られているので独特な踏ん張り姿勢になります。
パッとみたら普通の人型メカだけど、よくみると奇抜さのある個性的な構造になっているのがこのデザインの面白いところかと。

脚はめちゃくちゃ動くのですが、足首のロール可動がイマイチなので大きく動かした時の接地は微妙です。
つま先の爪のような部分をうまく動かして接地してるように見せかけることは可能です。

キットはほんとよく動くし関節も必要十分な硬さなのでガシガシ動かして遊ぶのがとても楽しい。
片脚立ちキープも全然余裕です。
膝や腕の構造に特殊性があるのでガンプラのHG感覚で動かしちゃうと戸惑うところもありますが、その戸惑いも含めて面白い。

首や腰の可動軸が多いのでかなり大きく動かすことができるので表情付けの幅がすごい。

このキットの唯一の残念ポイントがこちら。
銃の持ち手のパーツ分割が不思議なことになってたので成形色だと人差し指は青っぽいパーツなのに、第二関節から先は黒っぽいパーツになっています。
普通なら「HGならこんなもんだろうな」ってスルーしちゃうところですが、細かな色分けにもこだわりまくっている境界戦機だと「なんでここだけもうちょっと頑張れなかったんだろう…」って気持ちが湧いちゃいます。
まぁただ慣れれば気にならなくなるところ。

胸元の装甲が可動し頭部を収納することができます。
と言っても鼻先が隠れる程度なのでメインカメラを守るためみたいな感じかな?

リアアーマーはパーツの差し替えでアウトリガー展開状態を再現できます。
脚部分はワンパーツなので伸縮もなし、黄色い足パーツはもともとリアアーマーについていたものを使うのですが、付け根が軸になっているので角度を変えることはできます。

このキット、よく動くけど接地は甘め。
アウトリガーも黄色いパーツとリアアーマーの傾き、そして本体の脚の角度や足首の向きやなんやらがぴしっとあった時には設置してるふうに見えますが、基本的に軽い部分なのでなんか浮いちゃいます。

武器はエリーゼくらいのモナカ構造です。


合わせ目が目立ちそうなところは段落ちになっているけどしっかり合わせ目を消したい人にとっては手間が多そうな構造ではあります。
このキットに関して言えば、巨大な武器がモナカ構造で軽いことにより方手持ちのままでも保持力をキープしながらアクションが決まるというメリットがあります。
ガシガシ遊ぶおもちゃと考えたらこの構造で大正解かも。

あとはギャラリーでいろいろまとめて。

パーツの色分けも優秀でパーツ構成も組み立てやすく、それでいて肉厚で頑丈なキットなので出来上がった後にガシガシ遊ぶのが楽しいキットです。
みて楽しむというよりも触って動かすのが楽しいデザインなので、写真では魅力が伝わりにくいかもしれませんが手にするとその良さがわかってもらえると思います。
あとはデザイン的に重心が低いような身を屈めるポーズがよく似合います。
長距離砲を持っているけど格闘戦が似合いそうで忍者みたいな感じ。


境界戦機という作品のことをよく知らなくてもロボット好きなら楽しめるキットだと思います。
アニメを見てピンとこなかった人もプラモデルとしては面白みがあるものだと思うので、安値で手に入れる機会があれば手にしてみるといいかもしれませんね。

いずれにせよ、アニメ放送が終わると再販の可能性が薄く入手が難しくなるスポット商品なんだろうなと想像します。
Amazonでは既に大幅な値引きに突入し始めているので気になる方はぜひ。

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