レビュー

[レビュー]chitocerium XCIX-albere & C-efer (チトセリウム XCIX-アルベラ & C-エフェル)

概要

今回はねんどろいどfigmaでお馴染みのグッドスマイルカンパニーが販売しているオリジナルプラモデルシリーズのチトセリウムというシリーズからご紹介します。
チトセリウムとは素体設計をfigmaメガミデバイス等の造形をしておられる浅井真紀さんが担当し、デザインはブラック★ロックシューターでお馴染みのhukeさんが担当するオリジナルプラモデルシリーズです。
hukeさんのダークな世界観を浅井真紀さんの造形技術で具現化する注目のプラモデルシリーズです。(全部買った後で知った)


↑ブラックロックシューター


今回私はシリーズ第4弾である「XCIX-albere(アルベラ) & C-efer(エフェル)」を買ってみました。
こちらは双子の少女のようなセットでして、椅子に座っている二人の姿が可愛くて予備知識ゼロで店頭で衝動買いしたものです。

バンダイ以外のこれ系のプラモデルは初めて購入したのですが、そんな私が感動した点や戸惑った点を細かな商品仕様も含めて順を追ってご紹介してゆきますね!

商品詳細

商品名 chitocerium XCIX-albere & C-efer (ちとせりうむ XCIX-あるべら & C-えふぇる)
メーカー グッドスマイルカンパニー
価格 6,800円 (税込)
発売時期 2021/06
仕様 PS&ABS 組み立て式プラスチックモデル・1/1スケール・全高:約120mm(台座除く)
原型制作 Masaki Apsy
制作協力 グッドスマイルカンパニー
デザイン huke
再販 初版:2021年6月 再販:2021年10月

パッケージ

このパッケージイラストに引かれて買っちゃいました。
同シリーズに小さな白ネコ&黒ネコのプラモデルがあるのですが、そちらは共通のパッケージで中身が1種類のみ入っていて、パッケージに貼られている小さなシールで白か黒を選ぶものでした。

こちらもそういうものかと思ってボックスを熟読したところこちらは二体セットだったので迷わず購入!

子供っぽい小さめの素体とは言え二体分のパーツがぎっしり詰まっているので箱はだいぶ分厚いです。

箱の横側、かなり分厚いです。

分厚さの比較のためにモビルスーツアンサンブルのF91を置いてみました。
この分厚い箱の中にパーツがみっちみちに入っています。

パッケージ横側の一部です。
二体並べると可愛さ倍増以上ですね。
両手を繋いだり祈ったりする時に使えそうな両手のひら一体型のハンドパーツも注目です。

チトセリウムには宝石箱のような専用の収納ボックス(こちらもプラモデルなので組み立て式)がついていて、この双子と付属品を綺麗に収納することができるのです。
これが可愛すぎてですね…

ランナー紹介

普段のレビューではここまではやらないのですが、私が初めて触るプラモデルシリーズということでランナーを紹介します。
写真があまり良くないのでご参考程度にどうぞ。

収納ボックス以外は「同じようなプラモデルを2体ぶん組み立てるだけのパーツ」がぎっしりと入っています。
同じものを複数組み立てるというのは私にとって大変苦痛な作業ではありますが、今回は初めてのプラモデルシリーズということで一部を除いてはかなり楽しく組み立てることができました。

上記のランナー一覧に乗せ忘れたのですが、彩色済みのお口のパーツがあります。
これ、マクロ撮影しているのですがめーっちゃくちゃ小さいです。
小さいのに歯まで塗り分けられていてすごい…

お口が空いているフェイスパーツの裏からこのお口パーツをはめ込む感じです。
これも、写真なので大きく見えますがフェイスパーツ自体けっこう小さいので指先の繊細さが必要な作業です。(ピンセットを使うほどではない)

瞳や頬などの赤みがプリント済のフェイスパーツが付いています。
フェイスパーツは組み立てた後で差し替えて遊ぶこともできます。

埃が目立って恐縮なのですが超拡大写真で。
マクロ撮影したので大きく見えていますが、瞳のグラデーションのドットはめっちゃ頑張らないと肉眼では見えないレベルの細かさです。
こんな細かい模様を決めうちでプリントして量産できちゃう技術ってほんとすごいですよね…

箱を開けると一番上に入っているのはこの無彩色フェイスがセットされたぷっくりとした紙の台紙です。
こういうふうにパーツを見せるのは素晴らしく、これだけで世界観を補完してくれるしなんか高級感もありますね。
昭和後期とか平成初期の一部のガンプラやマクロスプラモデルって特殊なパーツ(多色整形が珍しかったころや金属パーツなど)はこれに近い見せ方でパッケージングされてたなってのをふと思い出しました。
それらは箱を開けたらブリスターでPR文とともにパッキングされていたのですが、チトセリウムのこの部分もそれに近い感じがします。
このぷっくりとした紙の台紙を開くと中から組み立て説明図や水転写シールが出てくる感じです。

カラー組み立て図と水転写デカール

めっちゃくちゃ高級感がありますね…

ピンボケで恐縮ですが、収納ボックスには白文字でパーソナルマークのようなものがプリントされています。
チトセリウムは彩色済パーツなどけっこう頑張ってくれている印象がありますが、「組み立てただけ」だとけっこう気になる部分も多くて本格的なプラモデラーさんはいろいろ手を加えたくなる部分が多いと思います。
それはまた後ほど。

最近のガンプラと同じように横穴等もランナーの時点で成形されているので、今までは別パーツになっていたかも知れないような部分も一体パーツになっているところがちらほらあります。
チトセリウムのランナーを並べた時は細かなパーツがたっぷりで組み立てに時間がかかるかと思ったのですが、パーツ構成がけっこうシンプルで自分の予想の半分くらいの時間で組み立てることができました。(基本的な部分はおよそ2時間弱)

注意点として、アンダーゲート仕様のランナーがけっこうあるので組み立てには切れ味のいい薄刃ニッパーやデザインナイフが必要かもです。
自分はデザインナイフまでは使わなかったのですが、小さいパーツが多いゆえにアンダーゲートの見落としが多く組み立てかけたのを分解して余計な部分を切ってやり直しという工程がちょいちょい発生しました。
高級なニッパーでなくてもケロロニッパーレベルで十分だと思いますというか、ケロロニッパーは安いのにすごいんです。

パーツ分割と必要な仕上げについて

パーツ分割に関しては頑張っている部分もあれば、サイズの限界か大雑把でびっくりする部分もあります。
例えば、髪の毛のパーツは分け目に沿ってパーツが分割されるような工夫がなされており、組み立て後の自然さは感動的でした。

一方で脚は分割ラインがかなり目立つ上、嵌め込みが浅いので動かしているとパックリ分かれて外れることがかなり多いです。
肉眼だと気にならないのですが撮影すると切り口が白くなってるのも気になります。

組み立て説明図を引用

この部分に水転写シールを貼るようになっているのですが、こんな分割ラインが目立ってパカパカ外れる場所に水転写シールを貼るわけにはいかない気がします…
チトセリウムのようなプラモデルに手を出す方はヘビープラモデラーが多いのかなと想像しますが、ヘビープラモデラーだとこのままは許せない仕様かもしれません…

私のようなライトユーザーでも「ここは接着して合わせ目を消してから水転写シールを貼ろう」と思ったくらいなので、水転写シールを貼るタイミングはそれぞれのこだわりに合わせていったん考えてからがいいと思います。

ということで、私のレビュー写真は水転写シールを貼っていない状態です。

あとは個体差かもしれませんが私のものは黒い子の胴体がけっこうパカパカと外れてしまいます。
こういう部分が気になる方は可動に支障のない範囲で接着するのが良いかと思われます。

組み立て時に一番手間取ったのが胴体の色分けラインのパーツです。
正しい位置にまっすぐ置いて押し込んではめるというのは指でも無理ではないのですが、ピンセットがあるともっと楽かなと思います。
ピンセットは100均の先が細い曲がったやつが楽ですね。(ネイルアートのコーナーにあることが多いです)
ちゃんとはめればここのパーツはけっこう精密に噛み合ってくれるので、見栄えもいいし気持ちもいいです!

チトセリウムを素組だけで楽しむ場合はほかのプラモデル以上にランナーからパーツを綺麗に切り取って、アンダーゲートの場合は見落とさないように綺麗に処理するが重要かと思われます。

脚のように目立つ分割ラインとどう向き合うかで満足度が変わると思うのですが、プラモデルなので自分の満足の行くレベルまでこだわっていくのも面白いでしょうね。

本体レビュー

両手のひらが一体になっているパーツの使い勝手が最高

まずはアップで尊いお二人を。
黒い子がアルベラで白い子がエフェルです。
肩から二の腕にかけての分割線は目立つのでここもなんとかしたいところです。
腰の分割線はそういうものと判断して接着だけにしようかななどなど、個人で落とし所を決めて作り込んで行きましょう。

二人の素体は基本的に同じもので胴から脚の色は白黒反転の同じパーツです。
大きく違うのは頭部とスカート部分です。
二人並べるととにかく可愛いんですよ…

収納ボックスにスタンドが付けられるようになっており、このスタンドや展示方法にかなりのバリエーションがあるのでとても楽しいです。
この点の撮影をすっかり忘れてしまった…

まずは黒い方の子アルベラちゃんから。
子供体型ながらも女の子らしいメリハリのある造形です。
ただ、首がぷっくりと太く膨らんでいるのが目につくと気になっちゃいます。
首はもう一回りくらい細くても良かった気がするけど強度の関係かな?

素体がわかりやすいようにスカートパーツを外したバージョンで組み立てていますが、スカートの有無は後から簡単に差し替えできます。

スカートありはこんな感じ。
スカートをつける時はお尻のところにもスカートパーツを付けるのですが、お尻側のスカートは装飾のないのっぺりとした造形です。


スカートもしっかりと動くのでスカートが可動を大きく邪魔することはありません。
ちなみに、この写真は収納ボックスを開いてスタンドを付けたバージョンです。

スカートじゃない場合は太ももの上のパーツが跳ね上がるようになっているので脚を大きく前に出す場合も助かります。

アルベラちゃんは無表情なお顔が似合う気がします。
握り拳の造形は正直ピンと来ないのですが手のひらが大きくて指が短い子たちなので握るとこんな感じなのかも。

昨今基準の超絶可動という感じではありませんが必要以上にはしっかりと動くのでポーズを付けて遊ぶのも楽しい。
ガシガシ動かして遊んでいるとやはり脚部がカパっと分かれてしまうことがあるので、ガシガシ遊ぶ派の人はしっかりと接着した方が良いですね。

白い子のエフェルちゃんはこんな感じ。
素体の造形はアルベラちゃんと共通です。

控えめな笑顔だけど元気な印象が強いです。
アルベラエフェルも髪が最低限のパーツと工夫された分割で丁寧に立体感が出ていてすごく良いです。
首から上の造形はさすがグッスマさん。

膝は二軸関節と太もも側の凹みにふくらはぎがフィットする造形でしっかりと曲がってくれます。

感動ポイントとしましては、脚の付け根のパーツが下側にスライドで引き出せるようになっています。
左右独立して引き出せるのでポージングの幅がめちゃくちゃ広がって、特に脚をしっかりと前に出したい時はこのギミックが大いに役立ってくれます。
組み立てている時はちょっと弱そうな箇所かなと思ったのですが、トータルで見るとパーツの厚さが必要十分なのでプラモの扱いに慣れている人ならいきなり壊すことはないでしょう。

スカートのデザインは黒い子と違います。
ちょっと広げるだけでフォルムが大きく変わるので変化を楽しめます。

表情が全部控えめだけどそこがお上品でいいですね。

二人で仲良しギャラリー

付属品

私が引かれた大きなポイントでもあるのがこの背もたれの長い椅子です。
背もたれの上半分の模様が違うのですが、下半分から椅子の脚までは共通パーツです。

ちょっぴり禍々しさも感じちゃうような配色と造形がめちゃくちゃいいですね。
ラスボスが座る椅子だわこれ…

この椅子も収納ボックスに収めることができるのですが、そのために芸術的なほど平べったく畳めるのが素晴らしいです。

椅子に座るとめちゃくちゃ映えますね!
スカートを装備している状態でも座れるのもポイントです。

収納ボックスは光沢のある素材で、切っているときに切り口がパリパリしたのでコーティングなのかなと想像します。
メッキのようなコーティングではなくただテカテカしている感じです。
プラパーツにクリアを吹きかけたような質感です。
高級感がありそうに見えるのですが、めっちゃ指紋が付くし、ランナーの切り口がすごく目立つしとデメリットの方が気になるかも…
ランナーの時点ではめちゃくちゃテンションが上がる仕様ではありましたが、仕上がりや実用を考えると光沢よりもシボ加工の方が良かったかなと個人的には思います。

この収納ボックスをひらけばスタンドの支柱や椅子を綺麗に収めることができます。
椅子は驚異的な薄さのおかげで二脚分を重ねて収納できています。

この収納ボックスに双子を向かい合わせて収めることができるのです。
寝床みたいになるのが世界観を広げていてめちゃくちゃいいですね。
余分のハンドパーツやフェイスパーツを隙間にジャラジャラ入れることもできそうですがあまり美しくないです。
この辺が美しく片付いて収納ボックスだけで完結する商品になればめちゃくちゃ良かったのに…

最後に苦痛だったポイント

まさか、足のパーツを16個も作ることになるとは思っていなかったです…

・足の甲が動く素足
・足の甲が動かない素足
・足の甲が動くタイツ
・足の甲が動かないタイツ

を各3〜4パーツで二人分作るわけですから、同じものを作るのが苦手な私にとってはこれはほんと苦痛な作業でした…
同じパーツっぽく見えるけどパーツ番号が違うから念のために従ってるとけっこう時間もかかりました。

たぶん、これは必要なものだけ作るが正解だと思います。

足の甲が動くバージョンは踏ん張り等で表情がつけやすくなる反面、分割線が目立つ上に自立時の保持力が若干下がります。(足の甲がフニャッと曲がってバランスを崩すので)
一方で足の甲が動かないバージョンは可動の面白さはなくなりますが、分割線が目立たなくなり自立させるのが若干楽です。
しかしながら、この商品自体どちらにしても自立にはあまり向いていなくて飾るならスタンドを使った方が良いという感じなので自立のしやすさはあまり気にしなくてもいいと思います。
分割線に関してもこの子たちがマリオネット的なものということであればあっても気にならないものですよね。

要するに、素足orタイツ以外の大差はないので自分の好みと世界観の解釈の落とし所で一つだけ作ればいい気がします。

素足にするとパジャマっぽくなるのでパジャマっぽいのを期待している方は素足で。

戦闘服っぽいのを期待している人はタイツでという判断でいいかも。

もちろん、同じものをたくさん作るのが苦痛じゃない人はガンガンと足首を作りまくって差し替えて楽しんでください。

のんびりと他の子にも手を出してみたいチトセリウム

私はガンプラ等ロボットプラモを中心に作る人間なので、そういう人間の視点として好き勝手書かせていただきました。
初めて触れるグッドスマイルカンパニーのプラモデルということで不安な点もありましたが全体的には組み立てやすくてメーカー側の熱意もガンガン伝わってくる商品でした。
ただ、楽なプラモデルに飼い慣らされた人間としては「もう少しこうならいいのに」という気持ちが湧いた点もちらほらとありました。

そもそも、プラモデルの楽しさは自分の求める完成度まで自分のさじ加減で作り込むというものですよね。
素組でもかなりのクオリティですし、ガシガシ遊ぶ人は接着した方がストレスが減る部分があるので接着するのも良いと思います。
見た目にこだわるなら先に述べた通り合わせ目を消すのもいいと思います。

私は、もう少しこの子たちに手を加えたら他のチトセリウムにも手を出してみたいなと思いました。
8月に発売されるユラニアがめちゃくちゃ好みなので、次に手を出すのは8月ですかね!


こねこ星人