[ご注意]
モビルスーツアンサンブルEX36はプレミアムバンダイの受注販売限定品です。
本記事ではAmazonの商品リンクなどを貼り付けていますが、これらの商品は定価を大幅に超えて出品されている場合があります。
インターネットでご購入される場合はお値段を十分ご確認の上で購入を検討ください。
発売日 2022年5月19日発送品
販売価格 8,800円
製品素材 PVC・ABS・MABS
サイズ 全高約65mm
対象年齢 15歳以上
パッケージやザメルについては前編をご覧ください。
まずは素立ち写真から。
ガンダム試作2号機(GP02・サイサリス)は肩の大きなバインダーと安定感のありそうな大きな足が強調されるようメリハリのあるアレンジで作られています。
私はGP02に関してプロポーションの正解がわからなくて、立体化されている商品ごとに機体の解釈が違う印象があります。
思ったより細身だったり、肩がもげて自立ができないほど大きいものもあったりと、その解釈の違いを楽しめる機体でもあると思っています。
ドムの設計思想が反映されたガンダムという意味では、足に大きなアクセントを置いているアンサンブルのアレンジは一つの正解かもしれません。
アンサンブルのGP02のフォルムは好きなんですけど、触って遊び始めると残念と感じる部分が多くてそれも後述です。
パーツ構成はこんな感じです。
このパーツ数はもはやプラモデルですね。
本体のボリューム以上に目につくのが真ん中の辺りにある同じランナーの束で、多連装ロケットシステムを組み立てるためのものです。
多連装ロケットシステムは「適当な2〜3パーツ造形のもので運が良ければ個別に分割できるものかな?」くらいに想像していたのですが、一つにつき12個のパーツを組み立てるという気合の入ったものでした。
同じものを6個組み立てる苦しさが脳裏に浮かびましたが、組み立てやすく「これを6個組み立てることで遊びの幅がめちゃくちゃ広がる」ということが理解できたのでワクワクしながら組み立てることができました。
こちらも詳しくは後述です。
共通フレームっぽい部分のランナーですが背中パーツの幅がガチャ版と違って広いです。
ただ、バックパック接続穴の位置やサイズはガチャ版と同じなので他の商品のバックパックと互換性があり付け替え遊びができます。
やるじゃん。
パーツ分割や機体構造が面白かったので組み立てに関しても少し掘り下げます。
まずは脚部の組み立てから。
脚部は細かくパーツ分割されていますが主に色分けのための分割です。
スリッパは赤い土台パーツに前部の黒いパーツと踵のグレーパーツを差し込んで色分けします。
脛や膝の赤い部分はこれも色分けのための別パーツになっています。
組み立てのめんどくささはありますが仕上がりは良いので、下手な工場塗りで地雷ロットを引くよりはよほど嬉しい!(フラグです)
そうそう、最近のEXシリーズだと腰に前後スイングがついていることが多いのですがGP02はガチャ版と同じようなシンプルな一軸です。
フレキシブル・スラスター・バインダー(肩のでっかいシールドブースターみたいなやつ)を装着していない感じがこちらです。
膝から下はドムのように重厚なのに膝から上はさほどでもない独特のプロポーションです。
モールドの情報量もバッチリで締まったグレー系のボディーカラーがかなりかっこいいです。
塗装精度は悪くなはずなのですが、プレバン商品とめちゃくちゃ相性の悪い私はまたまたハズレを引いてしまった…
目もほっぺも赤い塗料がド派手に塗られてしまっています。
ただまぁ、写真だと目立ちますが実際の品物はとても小さな部分でかつ奥まっていて普通は暗めの部分なので気にしない人は気にしないだろうなという部分です。
明かりが入っちゃうとかなり目立ってしまい、私も気づいてしまったのでずっと気になってしまっているという感じで…
基本的にはイケメンです。
つづいて、アンサンブルのGP02を触った人たちがざわついていたフレキシブル・スラスター・バインダーです。
肩のでかいブースター付きアーマーみたいなやつですね。
こちらは彩色済みABSと単色PVCを組み立てて作ります。
肩のバインダーが彩色済みなのですが、今のバンダイはゲート部分に色を塗ってゲート跡から成形色が見えるような仕様にするようなことはありません。
合わせ目は目立つものの発色はいいし塗りの精度も高いしでなかなかやるじゃんです。
ざわざわポイントがこちら。
バックパックのオリジナルパーツを介して肩のバインダーを背中から背負わせるという荒業仕様です。
機体の本来の設定だとフレキシブル・スラスター・バインダーは肩に直接ついているので大胆な新解釈ですね。
モビルスーツアンサンブルという商品の設計思想に「武器をたくさんつけてシルエットの変化を楽しむ、そのために武器をたくさんつけても負けない関節設計」みたいなのがあるそうです。
アンサンブルの素材はPVCメインなので経年や温度変化でふにゃふにゃになりやすく、肩に大きなバインダーを付けると関節がへたったりして形状やポーズを保てないという判断からこのような仕様になったんだと想像します。
また、バックパックの互換性もあるので肩の形状を気にせず(肩が大きい機体は無理だけど)に他の機体にもフレキシブル・スラスター・バインダーを付け替えて遊べるというのも大きなポイント。
私自身はこのような大胆解釈の仕様変更に抵抗がないので組み立てている最中は「面白いな!」という感じだったのですがこれが全然面白くなかった…
このバインダーが肩に近くてかつ自由に動く感じではないので肩に干渉しまくって関節入りの可動メリットがほぼ死んじゃってますね。
素材の軟性を利用して干渉を避けながら無理やり動かすような感じです。
アンサンブルはアクション重視ではないので可動はおまけ程度という前提ではありますが、それでも関節があれば動かしたいしガシガシ遊びたいところ。
せっかく組み立てた関節があまり効果的に働かず、動かすのにも神経をすり減らしちゃうっていうなかなかしんどい仕様でした。
また、もうひとつ気になる点があってそれは内側のスラスターについてです。
この内側のスラスターの仕様がピンとこないんですね。
内側の黒っぽい方のスラスターがあまりいい感じに動かなくて、スラスターを真下に向けようとしても外側を向いちゃう構造になっています。
そういうものかと思いきや、組み立て説明図を見ると真下に向いています。
本来、黒いパーツの丸い穴の部分がもっと外側に向けば黒いスラスターも真下を向いてくれるはずなのですが、バインダーのパーツに干渉してこれ以上外側に向かない感じになっています。
GP02の最大のネックがこの黒いスラスターのパーツだと思います。
たとえば、丸い穴の部分がもう少し本体側に伸びていたら(Rと刻印されている部分が伸びていたら)バインダーの位置調整もできてスラスターも下側を向いて可動の妨げにもならなかったと思います。
その部分が短すぎるのでスラスターの可動範囲が小さすぎるし、本体の腕の可動も殺されちゃってるんだと思います。
また、バンダーを動かすときにどうしてもこの黒いスラスター部分を触って可動させなきゃならない時があるのですが、細めの軸が伸びている感じなので破損にもつながりそうで怖くて触りにくいのです。
この黒いパーツが変わるだけでGP02は化けそうなのにここの詰めが甘すぎると感じます。
これ、組み立て図では真下に向いていた訳だし設計ミスなのでは?
※もしも私の組み立て方が違うようなら教えてほしいです!
強度が不安で構造に不満という残念なポイントになりました。
ついでについでにもうひとつ不満があって、メインスラスターの折れる部分がABSの受け穴に対して細い軸のPVCで接続するようになっおり、強度の関係で少し緩めにするしかなかったようでここが緩くてかっちり決まらず常に少し折れて隙間が空いているような感じになっちゃいます。
ここもちょっとしたロックなどがあればもう少しマシになった気がするのですがイマイチだったポイントです。
ザメルと2体で8千円、実質4千円もする商品なのでここの詰めの甘さは残念です。
写真で見るとそんなストレスを感じさせないくらいかっこいいんですけどね!
下から見ても情報量はもりもりです。
バインダーの内側のスラスターの向きが気になるのと、バインダー自体に厚みが足りないような気もしますがデフォルメと割り切ればOK!
GP02の特徴的な武装であるラジエターシールドです。
シールド本体は表面と裏蓋の2パーツ構成でそれに2パーツ構成の持ち手をくっつけます。
写真に写っているシールド用のクリアスタンドも付属しています。
撮影の瞬間は便利だったけどたぶん2度と使わないスタンドです。
GP02はこれがしょぼかったら雰囲気が出ないのですが十分な厚みと大きさで造形されていて素晴らしいです。
モールドもくっきりで彩色もバッチリ。
ラジエターシールドにはアトミックバズーカのバレルを収納することもできます。
かなり硬めの接続なので取り外すときにシールドが分解されたり、PVC製のバレルが曲がったりして遊びやすいかというとちょっと微妙です。
ラジエターシールドについているアトミックバズーカ収納用の長めのピンを使えばシールドを腕のいつもの穴に装着させることもできます。
ビームサーベルはクリアグリーンで成形されています。
持ち手の形状の関係で先に拳の後ろから持ち手を通して、後からビーム刃を取り付けるようになっています。
バズーカはアトミックバズーカとビームバズーカが付属しています。
素人だと並べて見比べないと違いがわからないという感じかもしれませんが、遊びの幅を広げるという意味では2本ついていることに意義がありますね。
どちらも砲身は真ん中くらいで分離できて、3ミリ軸で接続されているので組み替え遊びの可能性はめちゃくちゃ大きいです。
バズーカはGP02の背面にジョイントを刺して構えさせることができます。
構えさせる時の角度や持ち手・ジョイントの長さなどがギリギリなので構えさせるのにけっこうコツが必要です。
PVCの軟性を活かしてバズーカの持ち手を軽く曲げて持たせるくらいがストレスなく遊ぶコツかも。
ツインバズーカ仕様もめちゃくちゃ痺れる!
あとは組み立てが面倒だったもののめちゃくちゃ嬉しい仕様の多連装ロケットシステムです。
これが左右分でふたつついてきます。
上段ふたつ、下段ひとつのように接続し、下段は可動軸のあるジョイントで本体のバックパックに接続します。
上段は3ミリ軸のピンで二つをくっつけて下段と接続します。
接続のための3ミリ穴が上下左右に空いているので組み替え遊びの幅はめちゃくちゃ広いです。
ブースターに見立てることもできる形状でアンサンブルの組み替え遊びをする人にとってはいくらあっても嬉しいアイテムかも。
装備するとこんな感じでかなりゴテゴテになります。
可動軸はあるものの干渉箇所がかなり多いので多連装ロケットシステムを動かして表情づけするには一苦労です。
ミサイルのハッチは全て個別に開きます。
「このことを知ってたら欲しかったのに見送っちゃった」って人もいるのでは??
さて、この商品にはスタンドが複数付いてきます。
メインのスタンドは大変ありがたいのですが、バインダーを支える補助スタンドが高さも形状もイマイチで正しい位置で使うのが難しく全く役に立ちません。
そもそも、補助スタンドなんかなくてもバッチリキープできるし。
先に紹介したシールド用スタンドも使うとシールドの位置が固定されて、自由なポーズがつけにくくなるので使う機会はなさそうです。
こちらも腕で普通にキープできますし。
モビルスーツアンサンブルは経年や気温変化でPVCが緩くなってふにゃふにゃすることがあるので、ふにゃふにゃ化が始まったら役立つスタンドなのかもしれませんが今のところは無駄なコストをかけたものとしか思えないです。
GP01と並べてみました。
パースが付いてわかりにくいですがモビルスーツの高さは同じくらいです。
GP01を単体で見た時はあまり気にならなかったのですが、GP02の渋いグレーに並べると白がおもちゃっぽく感じてしまいます。
あとやっぱGP01のシールドが薄いなぁ…
最後はギャラリーでお楽しみください。
期待以上にかっこいい部分も多く気合の入った商品ではあるのですが、詰めの甘さや謎仕様もあって色々モヤモヤする商品でした。
気になった点をまとめると
・バインダーは設計ミス?
・バインダーのせいで稼働範囲は絶望的
・補助スタンド本当に必要?
・塗装の外れ辛い…
・そんなこんなで割高感が拭えない
・アンサンブルの多くに対して言えることだけど、スタンドから外すときに腰が外れて崩壊するのはもう少しなんとかしてほしい
という感じでした。
ただ、さすがアンサンブルというところとして組み替え遊びのための工夫や配慮はめちゃくちゃ気を遣ってくれています。
GP02をほぼ固定モデルと割り切れる人や、組み替え遊びの素体やパーツ取りと考えている人にとってはめちゃくちゃ満足の行くものになると思います。
以上、モビルスーツアンサンブル EX36 ガンダム試作2号機&ザメルセットは「ザメルはめちゃくちゃ満足度が高かったけど、GP02は結構微妙、お値段も高いと感じるしトータルで★4つ」くらいの気分でした。
もしもプレバンさんがザメルだけを単体でカーキとか色違いで出してくれたら追加で買うと思う!