ガシャポンクエストとはバンダイが2022年12月に発売したオリジナル可動フィギュアの商品です。
古き良き西洋RPGをテーマにしたような世界観で、可動フィギュアに武器や鎧など各種装備を付け替えることを楽しめる商品です。
全長8センチくらいの組み立て式フィギュアなので身長170センチを想定すると1/21スケールくらいですかね?
キリのいいスケールだと1/24くらいの小物と合わせて遊べる感じです。
企画者も同じということでアクアシューターズの姉妹のようなシリーズと考えることもできます。(ごく一部を除いて互換性なし)
コンセプトとしては1990年に同じくバンダイから発売されたガシャポン商品「甲竜伝説ヴィルガスト」に似ているということで「令和のヴィルガスト」と呼ぶ人もおられます。
ヴィルガストは彩色なしの固定フィギュアに武器や鎧をつけて遊ぶものだったのですが、ガシャポンクエストは彩色済み可動フィギュアなのでヴィルガストの進化版というイメージもあります。
店頭でのガシャポンの他にオンラインガシャポンでの販売があり第一弾では以下のような方法を取っていました。
カプセル版(店頭のガチャマシン) … 1回500円で全7種類、内訳はフュギュア2種、鎧類3種、武器セット2種で排出率が異なる → 高いけど当たり外れの差が比較的小さい
オンライン版 … 1回300円で全14種、専用サイトでバーチャルにガチャを回して購入するもので別途送料がかかる。カプセル版のバージョン違いのようなラインナップだがオンライン限定の装備もある。ラインナップのうちフィギュアは1種のみで武器はカプセル版のようなセットではなく1本ずつが商品となっている。 → 安いけど当たり外れの差が大きい
オンライン版キャラエディットセレクション … 1回1200円で全6種類、オンライン版の一種として発売されており店頭販売はなし。カプセル版のフィギュアの色違いのみが排出される。(武器セットなどはなし) → 必ずフィギュアが出るけど高い
カプセル版の余談なのですが武器セットとそれ以外の重量差がかなりあって、何度か弾いているとカプセルを持った瞬間に武器セットかどうかわかります。(中身が空っぽかのように軽い)
「同じ形状で重さが違うものはごちゃ混ぜにすると軽いものほど上に行きやすい」と言われていますが、この状態だと武器セットは筐体の上に行きやすいのではないかと想像しました。
実際、残り玉数が少ない筐体を回し続けた時に武器セットばかりが出てきたので…(そもそも武器セットの数が多いのでただのオカルトである可能性も高い)
フィギュアは組み立て式でパーツ構成はこんな感じです。
膝や肘の関節部分はなんと軸が打ち込み済みです。
アクアシューターズでは慣れるまで苦労しながら自分で打ち込んでいた部分なのでこれにはびっくり!
フィギュアのフォルムにこだわって作られているので、ほとんどのパーツにLRの違いがあります。
ボールジョイントの先っちょに細かく刻印されている例もあるので、パーツの左右違いはしっかりと確認しながら組み立てなければなりません。
組み立てるとこんな感じです。
全長8センチくらいで稼働箇所は15箇所、アクアシューターズよりも少し背が高くなって胸下の可動が追加されたという感じです。
可動箇所は赤丸の部分です。
このパーツ分割なら太ももにロールがあってもいいのにと思ったのですが、多角軸での接続なのでロールはありません。
悪夢のアクアシューターズの08弾でそこが抜けまくって酷いことになった過去があるので、もしかしたらここのロールって素人が考えるよりも難しいのかもしれませんね。
胸の下に可動軸があるのでくぃっと腰を曲げたようなポーズが取れるのがいいですね!
このおかげで腰は前後にもしっかりスイングしてくれるのですが、自立に難ありなのでこれらの可動範囲を気持ちよく遊びに活かせるかという意味ではうーんです。
男女で素体のサイズがやや違います。
腕などを見るとわかりやすいのですが男性の方が筋肉質で太めに作られており、女性よりもすこし身長が高いです。(頭頂部の髪の毛の尖りを無しに考えても背が高い)
ただ、あくまで第一弾の場合なので今後はキャラごとにデザインバランスが変わる可能性はあります。
素体のサイズが違うので鎧などの着用系装備は男性用・女性用で分かれています。
「見た目重視」という方向性で作られているようで、体にスタンド用の3ミリ穴などはありません。
足の裏に穴が空いていますが意味のある穴ではなさそう(3ミリより小さい)なのでここを活用するのも難しそうです。
武器を持つためのハンドパーツの内側には出っ張りがついていて、ここに引っ掛けるような感じで武器を持たせます。
保持力はまぁまぁでガシガシ遊ばない限りはポロリしすぎて困るという感じではなかったです。
このハンドパーツの形状のおかげで、他の商品の武器を持たせることも出来なくはないです。
アクアシューターズの武器の持ち手は細めの丸棒なのですが、若干ゆるっとしながらも持つことができます。
すこし手のひらを無理して広げればモビルスーツアンサンブルの3ミリ軸の武器も持たせることができますが、手のひらが傷みそうではあるのでやりすぎ注意の自己責任で。
同じような感じでデスクトップアーミーの武器も持てないことはないです。
ざっと可動範囲もご紹介します。
膝や肘は90度くらい曲がって股関節も動くので膝立ちのようなポーズもなんとか可能です。
腰も結構動かせますが自立できる範囲でということになるとあまりダイナミックに動かせません。
重心が高くて足の裏が小さいので自立は困難で、「写真撮影する間の10秒くらいは頑張ってくれる」って程度です。
肩関節はピンつきの円盤状パーツに二の腕パーツをくっつけるという新しい方式でした。
このおかげで、アクアシューターズのような肩の接続ピンが目立たなくなった一方で、強度が心細く動かしているとポロポロと外れやすい部分となりました。
こういうところを見てもガシャポンクエストはガシガシ遊ぶよりも見た目重視に仕様を倒してるんだと思います。
フィギュアの重心が上にあり足の裏が小さく、足首もへたりやすいので自立はなかなか難しいです。
そのためスタンドが付いていますが、これが見た目の豪華さに反して結構使いにくいです。
アクアシューターズと同じような形状ですが、先っちょが可動式クリップのようになっています。
この可動クリップの先っちょがだいたい3ミリ軸っぽい(3ミリ穴に刺すとややゆるいので少し細いかも?)のですが、ガシャポンクエスト本体に3ミリ穴が空いていないので活用するのは難しそうです。
みた感じはめちゃくちゃ有能そうなのですがこれがかなり使いにくい。
女の子の素体であれば腰をホールドすることができるので女の子には使える場面もあるのですが、男の子は腰が太いのでこのクリップだと小さすぎます。
このクリップで足などを固定する方法も考えられますが、足の固定にはクリップが大きくていまいちしっくりきまらない。
何よりもスタンド自体が小さく軽いので完全にバランスを取らないとツルッと滑って逃げちゃうんです。
でも、完全にバランスを取る苦労とスタンドなしでフィギュアを自立させる苦労に大差ないんですよね…
アクアシューターズの場合は背中の穴にスタンドをしっかり固定する感じだったのでスタンドが逃げることなく、バランスを崩したとしてもフィギュアにスタンドがくっついたまま倒れる感じでしたが、このスタンドはスタンド自体がふわふわと先に逃げちゃうので、男の子素体にはほぼ使えないといってもいいレベルかも。
ガシャポンクエストの本体に一般的なサイズの穴がないので他のスタンドを流用するのも難しいです。
アクアシューターズだとスタンドの土台の先の穴に余った手首を刺して収納できていたのですが、ガシャポンクエストは手首の軸のサイズが違うのでそういうことはできなくなりました。
なんかめちゃくちゃ中途半端な仕様だなぁ…
公式さんがコストが厳しいと何度も言ってたけど、その厳しいコストの中でこういう微妙なスタンドをつける意味はないように感じました。
一番右にアクアシューターズを持ってきました。
アクアシューターズは女性素体と同じくらいのサイズですが少しぷりっとしています。
接続軸が全然違うので首以外は互換性がありません。
こんな感じでアクアシューターズと頭部の差し替えは可能です。
髪の毛の接続ブロックの形状も同じで差し替えできました。
ちなみに、似たようなサイズということでデスクトップアーミーとの互換性が気になるところですが、あちらは接続方式やボールジョイントのサイズが全然違うので差し替え不可です。
ガシャポンクエストの素体の組み立てで難しい部分や引っかかる部分が結構あります。
長くなるので別記事にまとめましたので併せてご確認ください。
公式さんの発言を意訳すると「物価高の世の中で無理やりこの価格で実現している商品なので当たり外れをつけてコストバランスをとっている」という感じでした。
なので確率そのままで考えると圧倒的に武器が出てきます。
オンライン版は確率を明記してくれているのですが素体の排出率3.6%に対して、鎧類の排出がおよそ17%、武器の排出率がおよそ80%という素体ゲットを目指して買い続けると武器屋が開けるレベルなのです。
武器だけがひたすら出てきて同じ武器が余り続けるという恐ろしい商品です。
色々な部分での仕様の倒し方をみるに、この商品は「見た目のフォルム最優先」であることが伝わってきます。
素体の上に鎧を被せて着膨れしすぎることを避けているんだと思いますが、素体を鎧装備済みのパーツと入れ替える部分が多々あります。
パーツ差し替えで統一されていたらいいのですが、ある部分は素体に被せたり装備させたり、一方他の部分は素体の部分を丸ごと差し替え「見た目のフォルム最優先」ゆえの換装の方法がバラバラなんですよね。
第一弾の男の子素体に鎧を装備させると元の素体の大部分が余っちゃいます。
こういう商品でズボンを履かせるには限界があるので差し替え仕方ないとしてもここまでとは思わなかった…
足首のピンを流用するために膝下を大分解しなければならない女の子素体…
変なスタンドつけなくていいから、代わりにこのピンを鎧にもちゃんと付いてくれてたらもう少し換装が楽だったのに…
こういう換装遊びは期待してなかったなと感じる方も多いのでは?
自分にとっていちばんのがっかりポイントはここでした。
フォルムが大幅に崩れても素体にぽちぽちと鎧をつけていくような遊びがしたかったです。
オンライン版はカプセル版の発売に先立って9月に購入できましたが、発送はカプセル版より遅れる感じでした。
ネットでガチャを回して送料がかかって届くのは数ヶ月後という、自分の価値観ではさっぱりわけのわからない販売方法だったのでオンライン版の購入はしませんでした。
受注販売に近いものをハズレ山盛りのランダムくじにするとか流石に足元掬われすぎなのでは…
公式さんの発言をすごくわかりやすく意訳すると、「射倖心を煽って必要数以上にたくさん買わせる」というビジネスモデルが伝わってきました。
本来、ガシャポンって販売方法の簡略化(自動販売機化)が目的だったと思うのですが、スマホゲームと同じ射倖心を煽るが前提の商品デザインになってしまっているのです。
コストバランスを取るなどその他の理由があるにせよ、「はずれくじたっぷりのガチャを引かせる、フルコンプを目指す人ははずれくじの海に溺れる」という仕様でした。
そんなこんなで、ガシャポンクエストという商品の「売り方」には全くいい印象がないのですが、商品としては悪くないから憎みきれないんですよね…
これはひねくれた推測なのですが、あたりとハズレが明確な商品なのでガチャ筐体を開けれる人はあたりだけを抜いちゃうとか転売しちゃうとか全然ありそうじゃないですか?
透明カプセルなら外から見て当たりの有無がわかりますが、透明カプセルじゃないのでそれを購入者が判断することは不可能です。
店内で単品販売をしているお店とか、なんかよくわかんないけど転売してそうな雰囲気のあるお店とか、なんとなくあたりを抜いちゃいそうな雰囲気があるとか、そういうところでは深追いしない方がいいかなという印象です。
まず、
商品だけ見ると面白そうには見えるのですが、自由度がありそうに見えながらもさほど自由度がありません。
シリーズが続いて装備の種類などが増えることによって真価を発揮するシリーズだと思うので、評価はこの先についてくるかもしれませんね。
販売方法や排出率等も考えると「バンダイのこういう商品が好きで、お金に糸目をつけない人向けのファンアイテム」という側面が強いかも?
万人におすすめできるアイテムではないのですが、こういう仕様を受け入れることができる人には楽しめるアイテムだと思います。