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[レビュー]HG Amplified IMGN 龍王丸 前編 概要と問題点(魔神英雄伝ワタル プラモデル)

はじめに

既存のキャラクターにリアレンジを施して立体化するバンダイのプラモデルシリーズ「HG Amplified IMGN」にて、魔神英雄伝ワタルのメカ(魔神)の龍王丸がリアル等身で登場しました。
先にリリースされた龍神丸は気になりながらも店頭で見かける機会もなくスルーしちゃったのですが、変形ロボ好きの私にとって完全変形してくれる龍王丸は見逃せない…ということで、高額に躊躇しながらも予約しておりました。

素晴らしいアレンジと特別な仕上げや素材の組み合わせで価格に比例した最高のキットになることを期待していましたが、正直これはかなり難があり詰めの甘い気の利かないキットの部類になると思います。
この龍王丸をきっかけにバンダイに対する信頼みたいなのが崩れて、今までの「気になる新商品は無条件で買う」というスタンスが「しっかり吟味して、地雷商品でも笑って愛せるレベルなら買う」くらいまで購買意欲が下がっちゃいました。

アレンジや立ち姿はめちゃくちゃかっこいいのですが「致命的とも言える不具合」に加えて「痒いところに手が届かないし気が利かない」キットと感じました。
神キットになれるポテンシャルがあったのに残念なポイントの方が目立つのですが、できるだけ公平な視点でじっくりみてゆきたいと思います。

概要

『魔神英雄伝ワタル』より、プラモデルオリジナル解釈の高頭身アレンジを施した「龍王丸」がHG Amplified IMGN で立体化!
高頭身ならではのアクションや鳳王形態への変形で、龍王丸の魅力を“増幅”!
■「HG Amplified IMGN」とは、プラモデルというプロダクトの概念から、新たなアレンジを想像し、キャラクターの魅力を“増幅”していくシリーズ。
■全長約170mmの迫力アクション!高頭身ならではの長い手足を活かしたアクションが、龍王丸の新たなる魅力を“増幅”!
■額は紋様の有無を選択式で再現可能。
■グロスインジェクション成形とゴールドメッキパーツを採用。高密度な造形で鮮やかな質感を表現。
■鳳龍剣の刀身はゴールドメッキ仕様。オリジナルデザインの紋様は3Dメタリックシールで再現。
■鞘盾は鳳王形態用の開閉ギミックを搭載。鳳龍剣の収納も可能。
■鳳王形態への変形が可能。鳳王形態時に装着できるプラモデルオリジナルのPET シート製のエフェクトが付属。高頭身アレンジだけでなく、オリジナルエフェクトで龍王丸の魅力を“増幅”。
■肩の龍爪を付属台座へ取り付けることで「龍牙拳」の再現が可能。
■ディスプレイ用の台座も付属。

【付属品】
■鳳龍剣×1
■鞘盾×1
■エフェクト用PET シート×1式
■台座×1
■台座用ジョイントパーツ×1
■シール×1
■3Dメタリックシール×1

価格6,600円(税10%込)
発売日2024年05月18日
対象年齢15才以上
https://bandai-hobby.net/item/6043/

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パッケージ

パッケージは縦向きにオリジナルイラストを生かしたもので、実際のキットほどは龍王丸の頭身の高さが感じられないのが面白いです。

箱全体は見慣れたバンダイフォーマットとなっています。

ランナーなど中身

ランナーはゴールドはテカリを抑えた上品な金メッキ、グレー部分は最近のポリキャップレスキットでよく使われるいつものもので、白を中心としたカラーパーツはグロスインジェクションとなっています。
グロスインジェクションはキャンディっぽいテカテカとした質感が特徴で、プラっぽさを抑えて高級感がありますが、今回この仕様が致命的に足を引っ張っている部分もありました。(のちほどしっかりと解説)

鳳王の尻尾になるプリズム加工がされているPETシートなど、珍しい素材が多くてワクワクするのですが、私の感覚だと素材同士のチグハグさみたいなのを感じました。
それぞれのパーツは珍しくて面白い素材なのですが、組み立ててみるとケンカしてるかのような相性の悪さを感じる部分もありました。

グロスインジェクションのパーツは塗装しなくても綺麗なのがいいですね。
私の感覚だと墨入れも似合わない素材だと思うので、そのまま組み立てるのが一番かも。

鳳王のエフェクトは素材としてはとても面白くて、虹色のグラデーションがプリントされているPETシートに、さらにプリズム加工がされていてキッラキラ光ります。
技術としては面白いけど、エフェクトとしてベストかは微妙に思えて、プリズムの四角いブロックがおもちゃっぽくチープに見える瞬間がありました。

このエフェクトは形状に合わせてしっかりとカットが入っているので手でちぎれるかと思いましたが、けっこう厚みがあって硬い素材でカーブの先端部分の切り離しがかなり難しかったです。
無理にちぎると赤丸部分のように素材が伸びてしまうので、素直にデザインナイフなどを活用した方が良さそう。

価格帯から考えると細かなパーツ分割で複数のパーツを組み合わせて厚みや重なりを出す部分が多いのかと思ったのですが、HGシリーズということでそのあたりはかなり簡略されていました。
膝周りの複雑な形状などもワンパーツになっているので、組み立てやすい一方でディテールとしての物足りなさは感じました。

ランナー数もパーツ数も多くなくて素直に組み立てれば2時間かからないレベルだと思うのですが、PETシートの切り離しと格闘したり、パーツの調整や復旧のために格闘したりで私は3時間くらいかかりました。

致命的な問題点から

バンダイのプラモデルには、パーツの精度が高くてパチパチはめるだけで細かく色分けされる組み立てやすいキットという印象を持っている人が多いかと思います。
この龍王丸に関しては組み立て時の調整が必須レベルで、ガンプラ感覚で組み立てると破損するリスクが高い部分が多いキットと感じました。

特に、SNSでも大きな話題になっていたのが股関節のパーツで、ここが渋すぎて普通に組み立てて動かそうとすると捩じ切れちゃいます。
グロスインジェクションって独特の滑りの悪さみたいなのがあるので、こういう可動軸を直接仕込むのは向いていないはずなのですが、龍王丸は直接仕込まれているんですよね…

私は組み立てている最中に穴が渋すぎるしこの硬さはおかしいぞと気づいて、白いパーツの穴をリューター+やすりで拡張しながらはめ込んでいました。
ところがその調整も甘くて、いけると思って挿したパーツがはまってしまい抜けなくなりました…
パーツを頑張って外したところ、白いパーツの方が派手に割れてしまいました(笑)

加工が中途半端で抜けなくなったのは自己責任の範疇なのですが、普通に組み立てるとキツすぎて黒い方のパーツの軸が捩じ切れちゃうのは不具合と言っていいレベルのものです。
SNSでもねじきり報告が多数で、トラブルなく組み立てた人も事前に情報を知っていたから対応して無事に組み立てたという方が多かったです。

なお、ここは不可解な構造をしている部分でもあります。
実は、腰の部分は普通のパーツ同士で噛み合わせるようにグロスインジェクションではない丸穴パーツを噛ませるようになっていたんですね。

腰の接続部分

腰の差し込み穴はモナカの中央部分になるので、、腰軸の保持力を高めるためにこのパーツを挟み込んでるだけかと思いますが、結果としてこの構造のおかげで腰軸は安定して動かしやすくなっていました。

股関節の接続穴も同じ構造を取れば問題なかったはずなのに、ここの穴はグロスインジェクションのパーツにそのまま穴が空いています。
別パーツにする余地がある大きさなのに、ここをこういう仕様にしてるのは謎でした。

他にもやばそうな部分が多くて、肩アーマーの接続部分や、手首の軸は組み立て時にしっかりと調整した方が良さそうでした。

特に手首の接続軸はメッキの厚みの関係か、かなりキチキチでした。
実際に捩じ切れてはいないのですが、股関節の調整不足を見るとここもあまり考えられてなさそうなので事前に調整しておいた方がよさそう。

6000円もするバンダイのプラモデルで、中国の怪しいプラモデルと同じような事前調整が必要というのはなんともはやでした。(他メーカーではあることなのでバンダイなのに珍しいなという意味)
そもそも、製品になる状態のものを一度組み立てればメーカーの人もこの欠陥に気づくはずで、量産に入る前にユーザーと同じように組み立ててそのチェックって当然するものだと思っていました。
そのチェックすらしていないのか、チェックをしたけど量産で何かが変わってしまったのか、プラモデルだから「お前の組み立て方が悪い」で押し通そうとしているのか、邪推すればキリがないですが世界トップクラスとも言えるプラモデルメーカーがこんな商品を流通させるのはどうなんだろう…

ちょっと前だとHGガンヴォルヴァでも同じようなことがあって、最近だとTINY SESSION ファイヤーバルキリー の交換手首のサイズが違うという問題もありました。
バンダイさんの生産体制に疑問を抱き始めています…

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キットの具体的な紹介は続きをご覧ください。

こねこ星人