「いつも株主優待はジャムだったのに、今年は謎プラモデルが送られてきた」で話題の日精樹脂工業株式会社(NISSEI)さんの株主優待プラモをご紹介します。
これ、プラモデルが好きな人にとってはかなり良いキットなのですが、ジャムを欲しがってた人たちがプラモデルで喜ぶかというのはアンマッチな部分も多く、フリマサイトでは1000円以下で叩き売りされていました。(1000円以下のものは瞬殺なので、執筆時の価格としては1300円前後が中心です、だんだん品薄になってくると思うので1500円以下なら買いかも?)
まだ入手方法があるタイミングなので、「NISSEI 射出成形機プラモデルNEX110V-12Eはいいぞ」という気持ちを込めてご紹介します。
このプラモデルは一応、Amazonにもありました。
Amazonで価格を見る。
日精樹脂工業株式会社(NISSEI)さんの射出成形機、NEX110V-12Eを1/20スケールでプラモデルにしたものです。
パッケージからも業務用機械ってのが伝わるストイックなデザインで、機械が好きな方にとっては特別な愛着がなくてもワクワクするやつだと思います。
ボリュームのある大きめなパッケージに説明がびっしり!
射出成形に関する読み物や、自社の射出成形機のラインナップの紹介まで、さながらパンフレットのようなレベルですが、プラモデルのパッケージとして成立しているのがすごいです。
自社製品をPRする株主優待としてはいろいろ完璧なのでは?
このキットには「シリーズNo.7」との記述があり、ネットで検索するとちらほら他のモデルも出てきます。
バーコードなどがついていないので、このまま市販されているものではなさそうです。
パーツ構成がかなり本気だった点にも驚きました。
ひけのあるでっかいパーツを適当に箱組みして、それっぽい小物をアクセント的につけるだけかと思ってたけど全然違った…
30分くらいで適当に作れるプラモデルかと思ってたけど、1時間以上かかった本気のプラモデルです。
パーツは肉厚ながらもディテールが細かく、大雑把に簡略化しそうな部分も別パーツになっていたりとかなり気合いが入っていました。
プラの質感もいいのですが、クリアパーツにはけっこう傷が入ってしまっていて、その点だけは残念でした。
小さなパーツの段階では「実際の機械だとここはどういう機能を持ったパーツなんだろう?」って思ってたところが、組み上がってくるにつれて「なるほど、ここがこういう役割なのか!」っていう理解に繋がるのは、プラモデルならではの面白さだったかも。
そういう意味でもかなり面白い株主優待です。
ロゴなどの大切な部分は透明シールで補います。
シールの質感は最近のプラモデルの中では解像度、厚さ、透明度などやや見劣りする感じでしたが許容範囲です。
組み立て説明図はこんな感じで、図の特有の線の細さになぜか業務用みを感じてしまう。
組み立てはややわかりにくいところや、普通に組むと噛み合わせが悪いところなどがあり、きれいに組み立てるには中級者くらいのレベルが必要かなと感じました。
詳細はのちほど。
ランナータグや面白いパーツのピックアップです。
2枚目の写真は、大きなパーツのロの字部分の中に、ピンパーツを成形していました。
成形の都合上、こういうところにはランナーをつけないとうまく出てこないそうなのですが、そのランナーの役割をそのままパーツとして使っちゃうのは良い工夫です。
3枚目の写真、少し複雑で細かなディテールのあるパーツが、ゲート一本で成形できてるのも面白かったです。
横に長くかなりのボリュームで、一部がクリアパーツでアレンジされていて中身が見えるようになっています。
細かなところの作り込みがすごいので、じっくり眺めるだけでも面白いです。
ただ、黒いパーツはクリアパーツ越しだと少し見にくいので、目立たせるならシルバーやメタリック系で塗っちゃうのもいいかも。
カバーは簡単に外すことができるので、中身をじっくり観察することもできます。
スライドドアは開閉できます。
ここの窓とその横の小窓のクリアパーツは接着必須です。
金型を押し出す機械はアームが伸縮するので動きのイメージを掴みやすいです。
金型の重さに耐えられるように、この辺が頑丈に作られてるんだろうなというのも伝わってきました。
金型部分を外すこともできました。
この辺りをざっくりワンパーツ造形で済ませることもできたでしょうに、そうはさせないという強いこだわりがあちこちに散りばめられているキットです。
樹脂を注入する方の機械も少しスライドします。
ここの作り込みも細かくて、内部が見えるように透明化されています。
まるで工場見学させてもらってるようなプラモデルだなぁ…すごい…
操作パネルやロゴ周りなどはシールです。
写真だとちょっと荒く見えちゃうかもですが、肉眼なら十分な解像度でした。
ここのパイプ部分がお気に入りですが、先端がカバーの中に入るので、こちらのカバーを外すには少しコツが必要です。
細かな部分もパーツの一部として造形されていて、ほんとじっくり眺めるのが楽しいキットでした。
このキットは1/20スケールということでメジャーなスケールとぴったり合うものはないのかなと感じます。
ただ、1/24スケールのヘキサギアとか、最近人気のリンクトラベラーズあたりだとさほど違和感なく遊べます。
さすがに1/10スケールの創彩少女庭園だと難しいですね。
とても面白いキットですが、プラモ初心者だと難しい部分がちらほらあり、どちらかといえば中級者以上を対象にしたキットかと思います。
組み立ての注意点は以下の通り。
・窓ガラス的なパーツの固定は接着剤必須です。(組み立て説明図にも記載されています)
・射出機のカバーの一部など、普通に組み立たら隙間ができちゃう部分があり、気になるならこちらも接着した方が良いです。その他、パーツが外れやすい部分もあるので任意で接着を。
・クリアパーツはかなり傷がつきやすいので取り扱い注意です。
・ゲート跡が結構残るので、こだわる方はゲート跡処理を。
・はめ込みがきつくて隙間ができてしまう箇所がちらほらあります。やすりなどで接続ピンを調整するか、腕に自信がある方ならピンを切り落として接着剤のみで固定した方がきれいに仕上がるかも。
窓の接着以外は気にしなければそれでいいって部分でもあります。
なので、隙間などあまり気にならない方は組み立ての達成感が気軽に得られるキットであり、中級者以上は調整が必要な箇所がちらほらあって「なかなか組みごたえがあるなぁ」という満足感が得られるキットかと思います。
株主優待って自社の強みや魅力を株主に伝えるという役割が大きいと思うので、Quoカードやジャムみたいなものよりも株主優待本来の役割を果たせているのではないかと感じました。(万人に喜ばれるかという点は別の話)
私自身も日精樹脂工業さんに対して特別な思い入れはなかったのですが、このプラモデルをきっかけにものすごく興味が湧いたし、他にどんな機械があるのかサイトを覗きに行ったりしましたもん。
このプラモデルがシリーズで送られてくるならずっと株持っておきたいなとかも思いました。
「気を衒った株主優待」では終わらない、予想以上に気合いが入った良キットであることがよかったです。
パッケージからも学びが多かったので、射出成形に興味がある方は、立体図鑑みたいな感じで持っておいてもいいかもですね!
このプラモデルは一応、Amazonにもありましたが、正規ルートは「株主になること」ですね。(猛烈注意:来年の株主優待はどうなるかわかりません)
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