ホビー

[レビュー]HG 1/144 ザウォート(ガンプラ)

商品概要

価格1,760円(税10%込)
発売日2023年02月11日
対象年齢8才以上

ガンダムシリーズ最新作『機動戦士ガンダム 水星の魔女』より、ペイル社製モビルスーツ ザウォートが商品化!
■挟み込みを避け、あとはめ加工をメインとするパーツ構成により組み立てやすさに配慮。
■首は引き出して可動範囲を拡張、腰部のボールジョイントは空間を設けた構造で前後の姿勢にも対応。
■前腕部にビームサーベルのグリップを格納。
■特徴的なフォルムを持つ専用武装が付属。
■ビームサーベル用にクリアグリーンのビームパーツが付属。
■フライトシステム「HG 1/144 ティックバラン」(別売り)への搭乗状態も再現。別売りのアクションベースと組み合わせることにより懸架状態での展示も演出できる。

【付属品】
■ビームサーベル×2
■武装×1

https://bandai-hobby.net/item/5221/

※高額転売屋による定価を超える出品など多々ありますので購入の際は十分にご注意ください。

くるくる動画

パッケージなど

最近はバンダイさんがかなり頑張ってくれて生産数をキープしてくれていること、水星の魔女はアイテムが多くてにわか転売屋が目利きしにくくなっていること、転売屋同士の潰し合いでガンプラ転売が薄利化していることなどなどで、水星の魔女関連のガンプラは発売日翌日くらいまでなら店頭入手が可能になってきていますよね。
再販もかなり頻繁に行われているので、買えなかった商品も数週間以内に買えるということがほとんどです。

今回、ザウォートの発売日にエディオンさんに行ってみたのですが、開店から2時間経ったタイミングでもかなりの在庫数で、ファンの方がティックバランとセットで何の混乱もなく購入できている状況でした。
いつもお世話になっているエディオンさんへの感謝の気持ちを込めて、エディオンの値札をつけたままのご紹介です。(?)

単独飛行可能なペイル社の量産機であるザウォートはガンダムっぽさの薄いデザインです。
フライトユニットと防弾チョッキを着込んだようなボリューム感のある上半身と、長くて細めの手脚のアンバランスさがかっこいいですね。
このキットはこれでもかってくらいふとももが上がる仕様になっているのですが、パッケージイラストからもその様子が伺えます。

パッケージを横3面から。

手足がすらっと長く見える機体なので躍動感のあるポーズがつけやすくてGoodです。

ちょっとした機体説明などが書かれているいつもの組み立て説明書です。
資料としてもとてもありがたいやつです。

ランナー構成は至ってシンプル。

組み立てやすいながらもパーツ分割や構成が秀逸で、合わせ目が出にくく強度も工夫されているのがすごいです。
ランナーを見た時は1時間もかからず組めそうだなと思ったのですが、ランナー枚数の印象よりもパーツが多くて組み立てには1時間半近くかかりました。
組み立てで特に難しいところはなく、顔のバイザーパーツ以外で切り落としミスしそうな箇所もありませんのでプラモデル入門者でも楽しめるかも。
超簡単なプチ改造でかなり遊びやすくなる部分もあるので、初心者の方にもプチ改造にチャレンジしてみて欲しいキットです。

長年見慣れているビームサーベルパーツかと思いきや2022年にアップデートされたようです。
ただ、ビーム刃横のゲートは従来のものと同じくニッパーで切り離す必要があります。

コトブキヤのこれとか、ビーム刃横にゲートをつけずに成形できてるからバンダイもここは頑張って欲しい。

バイザーの左右にある固定ピンはうっかり切り落としそうな部分なのでご注意を。

頭部は極小ながらもバイザー奥のメカのディテールがあるなどかなり気合の入ったものでした。
バイザーのクリアパーツの透過度もちょうどよくて、小さな部分なのに密度が高くて素晴らしい仕上がりです。
頭部は仮にRGが出てもこれくらいのパーツ分割だろうなってくらいの細かさだったのも手伝っての高密度です。

ちょっと気になったのは「ベクタードブースター」の付け根ですね。
3ミリ軸なので汎用性が高いのはありがたいのですが、ぐるぐる回す前提の構造としてはちょっと弱そうで、ガシガシ遊んでいるとすぐにヘタってしまうのではと感じました。
そして、見ての通りの構造なのでブースターを左右に振るなどという表現は不可です。(設定の通りなのかもしれません)

ザウォート

ビームサーベル2本とビームガンが付属しています。
「敵との距離をとって攻撃を回避しろ」というコンセプトの機体なのでシールドなどはありません。

防弾チョッキを厚着したような胴体と一体化したまま背中にボッコリと伸びているフライトユニット、胴回りのボリューム感に反してスラット細長い手足がとても印象的で、ぱっと見のシルエットがニルヴァーシュに似てるなって思います。

背中が重くて足裏が小さめなデザインでかつ、このキットも足首の構造に少し難がある(後述)ので自立は少し難しいです。
腹部は胸下のボールジョイントと、腰の前後のスイング軸で動くようになっているのですが、腰のスイング軸をうまく動かしながら調整するとやや自立しやすくなります。
ただ、この機体は空中で派手なアクションさせるのが映えそうなので、スタンドで飾るのがいいかもですね。本製品にスタンドは付いておらず、この商品でおすすめされているスタンドはこちら↓


高額転売品にご注意ください

すらっとしてるようにも見えてずんぐりとした重装型のようにも見え、角ばってる印象があったけど意外と曲線が多いという、見る角度や注目ポイントによって印象が変わる素晴らしいデザインですね。

首が短めで胸板が厚く広く上にも上がっているので、頭部がめり込んでいるような印象も受けます。

シンプルに見えて複雑な形状の機体ですが、首ジョイントの形状が工夫されているので上下に大きく動かすことができます。

スタンドを借りてきて肘や膝の可動範囲のチェックを。
肘も膝もシンプルな関節ながらも90度以上曲がって、この価格帯とパーツ数のキットであれば全く不満がないレベルです。

足首は前後にはド派手に動いてくれるのですが、左右の振りに少しクセがあるので動く割に接地はあまりよくないです。
この写真はけっこううまい具合に足首を動かせているものなのですが、足首がうまく動く角度に足首を引き出してやって、そこからボールジョイントの範囲内で左右の振りを決めてあげないといけない感じです。

ザウォートの下半身は可動範囲や可動方向にクセがあって思うように動かせない部分があるけど、構造を理解して動かすと結構ド派手に動いてくれるという印象です。
動かし方に慣れるまで脚の付け根を何度もスポスポ抜いてしまっていました。
ザウォートを手にして動かしにくいとかスポスポ抜けやすいと感じる人がいるとしたら、もしかしたらまだキットの構造と仲良くなれていないのかも?
理解してガシガシ動かせるようになるまで少しユーザー側の学習が必要になるキットなのかもしれません。

関節の動きを理解すればあぐらっぽくしたり、超短時間であれば太ももを大きく上げての片足立ちも可能です。
ただ、足首の構造は弱そうに見えるので経年によるふにゃふにゃ化やパーツ破損のリスクは高そうです。

真下から見てもなかなかの情報量で、お尻の四角い穴はスタンド用の穴です。

ベクタードブースターは肩の上まで回して逆噴射的な使い方ができます。

これ、最初に見た時キャノン砲かヴェスバー的なものかと思ってました。

めちゃくちゃ出力が低そうなビームガンですが、ビームの収束力に優れて長距離射撃にも対応できるという設定です。
砲身がないのは飛行時の空力を考慮した結果で、流線型になっているのもそれが理由だそうです。
そのビームガンはグリップの付け根を動かして握り手に差し込んで持たせる感じになっています。

マガジン(エネルギーパック?)が外せるのが小さいけど嬉しいギミックです。

ビームサーベルの持ち手は腕に収納されているのですが、引っ掛かりのないまっすぐな丸軸なので、握り手に持たせるとスカスカ自由に動いてしまって重力に任せると親指がビーム刃に引っかかってしまう感じでした。
他のビームサーベルのように、ビーム発生部分が太くなっていたらそこが親指に引っかかってくれて使いやすかったんですけど…
気になる人は、いつもどおりひっつき虫をご活用ください。

ビームサーベルのグリップは腕に収納できるのですがここの扱いがかなり難しい…
腕に収納すると取り外すのが難しく、接続ピンが細いので破損のリスクに怯えながら触る感じになっちゃいます。
これ、後述の微改造でかなり快適かつ可動映えするようになるので最後の微改造コーナーを参考にしてみてください。

腕はボールジョイント接続ですが、胴体に内蔵されているボールジョイントの受け側が引き出されるので腕を十分に前に出すことができます。

なので、ビームサーベルの両手持ちも可能です。

個体差もあるかもしれませんが私のものは構造的な難点があって、ボールジョイントの受け側の引き出し軸が固くて普通に腕を動かしていると先にボールジョイントの方が抜けてしまって引き出し機構が気持ちよく動いてくれません。
私はボールジョイントの受け側の引き出し軸を少し削って動きを緩くさせたので、硬すぎて先にボールジョイントが抜けちゃう人はここの加工も視野に入れてみてください。

肩や太もも上部についている丸穴は3ミリですので、他の商品の3ミリ軸のアイテムを気軽にくっつけて遊ぶことができます。

いったんギャラリーでまとめて。
複雑な造形とすらっと長い手脚でゴリゴリ動いてくれる様子が伝われば。

思いのほかカスタマイズが捗った!

ザウォートは肩の前後と太もも上部に3ミリ穴があります。
また、背中のベクタードブースターの接続も3ミリ軸です。

なので、他商品の3ミリアイテムを気軽につけてカスタマイズすることができるのです。

手近にあった30MMのパーツ類を装備させてザウォート四つ腕ヘヴィとかも簡単に作れちゃうんですよね。
ガンダムブランドのキャラクターモデルということで、カスタマイズ性は全く期待してなかったんですけどカスタマイズの土台としてもめちゃくちゃ有能なモデルかもしれません。

しかしほんとよく動くしたのしいなこれ!

微改造で遊びやすさアップ!

ザウォートの腕に収納するビームサーベルなのですが、一度収納すると取り外しが難しいという問題点があります。
小さいビームサーベルのグリップを小さいピンで取り付けるのですが、一度取り付けると指でつまんで取り外すのが難しくて、しかも取り付けピンが細くて硬いので破損しそうな怖さもあります。

しかし、パーツの一部を切り離すことで腕のビームサーベル収納部分がサーベルラックのせり出しのように動かせるようになります。
動きも楽しいしなによりビームサーベルの着脱が格段に楽になるので、ここにストレスを持っている人は自己責任の上で試してみて欲しい微改造です。

ザウォートはもともと腕のビームサーベル収納部分が別パーツになっており、独立して可動しそうな構造にも関わらずわざわざ動かないようにロックされているんですよね。
それが赤丸の部分です。

赤丸部分をさらに拡大、赤い四角で囲んでいる部分がロックになっているので、ここを切り離せば肘の可動とサーベル収納部分の可動を分離させることができるのです。

該当のパーツのみを写すとこれ。
赤丸部分をニッパーでカットしてやります。
片腕に対して左右対称に2パーツ、両腕では合計4パーツに同じ加工を行うことになります。

するとこんな感じ!
肘とサーベルラックを独立させて動かすことができます。

これで抜刀ポーズもバッチリ決まります!

サーベルラックは肘と同様に可動するので、肘を曲げた状態でサーベルラックも肘に追従させて動かすこともできます。
肘の強度は少し下がってしまう改造かもしれませんが、もともと頑丈な構造なので普通に動かしていて壊れたりポロリするような改造ではないと感じます。

この改造によって、ビームサーベルの着脱時にビームサーベルを指でしっかりとつまめるようになるので、ここに悩んでいる人は自己責任で試してみてみるのもいいかも?

まとめ

ザウォートは基本的には良いキットで、パーツ分割や構成も「今風以上」のものになっているので満足度はかなり高かったです。
可動箇所が多い割に下半身の可動にクセがある、構造的に弱そうな部分がある、腕のビームサーベル収納ギミックがちょっと厳しいなど小さな不満もありますが、キットを理解したり微改造することで満足度が一気に上がってめちゃくちゃいいキットだと感じると思います。

初めてのプラモデルとしてもおすすめできる良キットですし、キットが安定供給され続ければジムやザクと同じようなカスタマイズの土台にもなりそう。

ティックバランとの組み合わせ遊びも捗りますし、いろんな人の楽しみ方にいろんな形で応えてくれるすごいキットだと思いました。

ザウォートの強化版「ザウォートヘヴィ」も発売されますので、より多くのパーツがついているものが欲しい方や、今回手に入れられてなくてこれから買いたいとお考えの方はこちらの購入を検討してみるのもいいかも?(Amazonでは現時点で高額転売価格になっていますが、発売日に量販店に行けば余裕で買える物量だと思うので高額転売品の購入はお勧めしません)

こねこ星人