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ウェブクリエイターに伝えたい新サービス立ち上げ実録 その1

2020/5/20 - IT, ブログ

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で今までにないような不自由な生活を送っている人も多く、人生が180度変わるような方向転換を強いられた方や、大切な人を亡くしてしまった方などもおられ先が見えない中で各個人がそれぞれ違う形の苦労を抱えていると思います。
コロナ禍と呼ばれる現代人が経験したことのないウイルスとの大規模な戦いの中で、前を向いてそれを乗り越えるために何かできることがないかと考えて短期間でふたつのウェブサービス(サイト)を立ち上げました。

コロナで困ってるので助けてください https://corona.colorful-project.com/

新型コロナが収束したらやりたいことリスト http://corona.colorful-project.com/ganbo

今回は、この二つのサイトに関する記憶という側面を含めて、作った経緯とウェブサービスを立ち上げる時に知っておいたほうが良い課題などをまとめてゆきたいと思います。
普通は聞くことができないであろう、サービス立ち上げに関するぶっちゃけかつ生の声をお届けできればと思います。

 

「コロナで困ってるので助けてください」編

新型コロナウイルスの影響で困っていることを書き込んでもらって、それを見た人が手助けできそうなら手助けするというサイトです。
親しみやすさを出すために、あえて手書き風のデザインにしたのですが、取材してくださった方々はそれが気になったようで「なぜこのようなデザインにされたのですか?」と質問をくださることが多かったです。

 

1.サイトを作った経緯

新型コロナウイルス(COVID-19)が全国で猛威を振るい始めた2020年3月、社会的にも経済的にも大混乱が起こり始めており広島県に住んでいる私たちにとっても他人ごとではなくなり始めました。
会社でも「近いうちに広島でも新型コロナウイルスの感染者が出てくるし、そうなったときに社会に対して自分たちで何かできることをやらなければ」という会話が出るようになってきました。
まずは、当時の雰囲気の中で私たちが想像したのが「過度な外出自粛が発生して、飲食店などが苦境に立ってしまうのでは?」というものでした。
当時は「適切な予防策を講じていれば過度に恐れる必要はない」というのが専門家のご意見の主流である反面、非科学的なデマもたくさん飛び交い始めていた時期でもありました。
解決しました
↑コロ困のサイトにあるこれらのイラストが当時の雰囲気を象徴していると思います。

そこで、私たちが考えたのが「飲食店などが困っていることを気軽に投稿できるサイトを用意したら需要があるのではないか?」というものでした。
想定している利用法としては「お客さんが激減して困っています、だれか来て!」みたいな書き込みがなされてゆくイメージでした。
こういう書き込みを見たユーザーが「どうせお金を使うなら困っているところでお金を使おう」と考えてくれれば助け合いの場として成立するのではないか思っていました。

特にコロナウイルスは天災などに比べて被害が見えにくく、普段ボランティアなどで活躍されてる方も今までと手の差し伸べ方が変わってくるのではないかと思い「お困りごとを可視化すれば人助けもしやすくなるのでは」という思いもありました。
また、将来コロナウイルスが収束したときには「当時はこんなことに困っていたんだな」という記録的側面も持てるかなと思いました。

この企画を周りの友人たちに話したところ「それは誰かの役に立ちそう!」「ここはもう少しこうしたほうが使いやすいかも」などのご意見をたくさんいただいて、それらを元に開発を進めることにしましたが、振り返ってみれば実はこの辺りですでにいろいろな見込み違いをしていたりもして…

2.開発体制

大企業なら潤沢な予算を使って人を集めてこれくらいの規模のサービスは2日くらいでスパッと立ち上げができるのかもしれませんが、あいにく私が働いている会社は貧乏暇なしの零細企業です。
余分な人員はいませんしこの企画のためにお客さまからご依頼いただいているお仕事を止めるわけにもいきません。
裁量労働制(ブラックキーワード)であるため残業代という概念もなく、これは会社の支援は期待できずに完全にボランティアで動くことになりました。(ドメイン、サーバーにかかる費用は社会貢献として会社が負担しました)

そんなこんなで、開発体制は
・システム開発とフロントのコーディング … わたし
・デザインと広報 … しゃちょー(本物の弊社社長)
となりました。

規模の小さなシステムとはいえ、ちょっと人的リソース不足でしてデザインなどもデザイナーさんに任せればサクッと終わるものなのですが先述の通りそのような予算はありません。
今回のようなボランティアで進める案件はどなたかに協力を求めるにしても無給でお願いせざるを得ないのですが、「無給でお仕事をお願いする」というのは信念に反する面もあって、二人でできる限り作ってみようということになりました。

3.開発方針

弊社がお客さまからお仕事としてシステム開発をお請けするときは伝統的なウォーターフォールモデルで開発を行うことが多いです。
弊社は同業他社と比べてだいぶお値段が安めなので「設計書とか用意せずにとりあえず適当に作って問題があれば修正を繰り返す」みたいな最近の開発方法だと案件の終わりが見えにくいので敬遠しています。(この表現は同業他社さんから見るといろいろ異論があるかもですが、中小規模のシステム開発だとこのようなスタイルになっているところを多々目にするというのは実際のところです…)
ただ、今回はスピード感が求められるため「とりあえず作って、利用者の要望を聞きながら機能追加をしてゆく」という方式で進めることにしました。
通常はこのような場合でも「小さい単位でウォーターフォールを繰り返す」というのが正しいとは思うのですが、今回は「トライアンドエラーでとりあえずプロトタイプを作ってみる」というスタンスです。

開発がおおむね終わりオープンテストを行っていたころはユーザーのかたからいろいろなお声をくださったものをチケット的に記録し、それをどのように対応してゆくかの方針を可視化してGoogleスプレッドシートにまとめて公開していました。

これにより、ユーザーとサイトの未来像を共有することができたので、アドバイスをくださってた方やマスコミさんには好評でした。
このシートがガンガン動いていた時は「みんなで作るサービス」という雰囲気が出来上がっていたと思います。

4.開発期間

バックエンド部分に関してはLaravelというPHPフレームワークを利用しました。
ほとんどがLaravelの基本機能で実現できるので新規に作りこんでゆく部分を抑えることができ、手間取ったのはtwitterログインのために利用する機能が開発環境のバージョンの不一致できちんと動かなかった問題くらいだと思います。
そんなこんなでサーバー側のプログラムの基本的な部分は脳内設計を含めて2日くらい(実働8時間いかないくらい)で出来上がりました。
ドキュメントとしてはDB仕様書のみ残している感じです。

フロント部分はデザインに少し時間がかかり、そこからデザイン適用して動作テストという流れになったのでこの辺りが時間を食いましたがスタートして1週間たたないくらいで「最低限動くもの」ができました。

しかしLaravelいいですよね!
フレームワーク部分の動作はおおむね保証されている(もちろん、ここにバグがある可能性もあるけど)ので、変なことしない限りは根幹的なバグは発生しにくいです。
テスト項目をきちんと作って最低限のテストをしましたが、致命的なバグはなく発生したバグはバグというより仕様があいまいというものがほとんどでした。

5.反響

システムが使えるようになってから、個人のtwitterアカウントで告知しましたが200RTちょっといただきました。
ありがたい話だと思いながらもアクセス解析してみると翌日くらいから3000~5000ビューとか行っててRT数に対して多い数字と感じたのでいろいろと調べてみたところ、影響力のある方がご自身の言葉でこのサイトについて呟いてくださっておりそれが1000RTを超えていたんですね。(本当にありがとうございます!)
それらをきっかけとして新聞、ラジオ、テレビ、Web媒体などがコロ困について取り上げてくださいました。
ある番組では5分程度の特集を組んでくださって、弊社しゃちょうーがテレビカメラの前で立派に思いを語ったりしていてちょっと草って思いました。(こら!)

サイト利用者からは「サイトに掲載したらテレビの取材が来てくれた」「子供用マスクがないと投稿したら余分を持ってる人が譲ってくれた」などなど実際に成果があったという声もチラホラいただきまして大変うれしく思いました。
食材が余っていますというようなお困りごとに関しては私自身も備蓄を兼ねて購入してみたりと、理想通りの形にサイトが動いていたと感じました。

5.ところが…

アクセス数や反響のわりに投稿数が増えないという状況がずーっと続いています。
企画したときは「まぁ100件くらいは投稿がありそうですよね」みたいに話していたのですが、ほんと数件の投稿しかなく「使い方の例」としてのサンプルデータがいつまでも消せないくらいの寂しさでした…
この失敗については後の記事でご紹介しますのでここでは省略させていただき、対応として私たちがやったことはSNS等で「困っている」という投稿を見かけたら投稿主さんに直接「こういうサービスを立ち上げたのでよかったら投稿してもらえませんか?」と地道な広報活動を続けてゆくことでした。

これにより「投稿したら注文が増えたよ」などの声も出てきてほんの少しづつですが誰かの役に立てている実感が得られていました。

ただ、新型コロナに関する情勢が日々変わっていった結果、緊急事態宣言が発令され「外出どころじゃない」という状況に陥ったのです。
「過度な自粛によりお店が苦境に立つのを助けよう」という思いで作ったサイトだったのに「そもそも外出どころじゃない」という世の中になったのでサイト自体にほころびがたくさん出てきました…

これらに関するぶっちゃけなお話も後の記事にて。

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