触れられてないデメリットは?
最近、動画編集の練習も兼ねて自分が携わった曲を雰囲気ビデオにしているのですが、今回初めてゲーム制作エンジンであるUnityを動画制作に使ったので解説も兼ねてつらつらと記録しておこうと思いました。
曲はこの1年前くらいにさくっと作った「imperfect」という自分のオリジナル曲です。
まずはyoutubeで全体をご覧いただければ。
歌は得意じゃないのでお聴き苦しいかと思いますが、楽曲はとても気に入っておりましてデビューしたての頃のthird eye blindってバンドと、最近のアコースティックに寄ってるthird eye blindってバンドをパクったような楽曲です。(一番好きなバンドなので本気全力のリスペクトです)
今回のポイントはいつもゲーム制作で使っているUnityを動画制作で使ってみたというところです。
ただ、すべてUnityで作るのではなくUnityに任せた方が早い演出はUnityに任せて、土台の部分はいつも通りAdobe Premiereで編集しています。
しっかり作り込めば、Unityだけでカメラワークに凝りまくった3D映像なども作れるのですが、今回は始めてだったのでとりあえずUnityの得意分野だけを使って完成させることを目標にしました。
Unityで作った映像をMP4など一般的な動画形式にするのはUnity Recordertというアセットを使うのが一般的で、私も今回はそれを利用して撮影いたしました。
やってることはUnity初心者でもピンとくるようなものが大半なのですが、そういう機能をどういうふうに使うかっていうのがオリジナリティを出すポイントになってくると思います。
では、パートごとにポイントをみてゆきましょう!
イントロ
パラパラと3Dのタイトル文字が降ってくる演出なのですがこういうのはUnityの得意分野です。
ここはどこまでこだわろうか悩んだのですが3Dモデルの制作はあまり詳しくなくて、今回時間をかけるべきはそこじゃないかなと感じたのでフリー素材を使わせていただくことにしました。
アルファベットの3DモデルはYAGARAさんのものをいただきました。
この画面は初代プレイステーションくらいの時代のポリゴンをイメージして仕上げました。
音楽がメインの動画なのに演奏シーンがないのも寂しいかと思って、うっすらとむりやりイントロを演奏している動画を入れてみました。
こちらの演奏シーンはiPhoneで撮影したものをAdobe Premiereでのっけたものです。
Aメロ
自分に足りないもの&満たされないもの=パズルのピースに見立てて、いろんなものがたくさん降り注ぎすぎて何が自分に合うのかもわからないみたいな感じを映像で表現しました。
この降り注いでくるパズルのピースの中には悪意があるものや特定の考えに偏ったものもたくさんあって、取り込んじゃうと自分が壊れちゃう可能性もあるんです。
一番怖いのは正義感を盾に他人を攻撃することで快楽を覚えて、結果として自分がからっぽのままただひたすら歳を取っちゃうことかもしれません。
などなど、こういうのを喋りすぎちゃうと解釈の幅がどんどん消えていくのでいったんこの辺で(笑)
そんなパズルのピースと一緒に、歌詞の文字もパラパラと降り注ぐ感じで表現しました。
このシーンでは文字をPremiereで、映像は自分で描いたイラストをUnityで動かしています。
ねこさんの空っぽの胸の中でキラキラ光っているのはUnityのパーティクルです。
パズルがランダムでパラパラと上から降ってくる部分はプログラムを組んで実現していますが、慣れれば10分くらいで組めるロジックなのでUnityは楽ですね!
ゲーム作りだと生成したオブジェクトをいつ破壊するかとか、処理を軽くするために無駄のないプログラムにする方法とか考慮すべきことも多いのですが、動画を収録するだけであればそんなのも無視して雑なプログラムでいいんです。
ちなみに、パズルのピースはAffinity Designerを使って5分くらいで描きました。
付属の素材集についてたパズルのピース(画像右端の緑っぽいやつ)を流用して、それっぽいテクスチャをつけて3Dエフェクト(FX)をぱぱっとかけるだけでこういうのができちゃうんです。
こういうのが便利すぎて自分の制作物にはもっぱらAffinity Designerを使っています。
Bメロ前の「カカッ」っていうギターのブラッシングと一緒にサブリミナルっぽくタイトルをカットインさせています。
ここのこういう動きはUnityよりもPremiereでやるのが手っ取り早いですね。
今の私のスキルだとUnityではこういう音にピンポイントで合わせる演出が難しいです。
Bメロ
パズルのピースの加工工場のようなイメージです。
次々と流れてくるパズルのピースを加工できたり加工できなかったり、リズムに合わせながらも不安定な状況を表現しました。
歌詞はプレス機(?)の電光掲示板のようなイメージで流しています。
背景はAIに描いてもらったものを加工しました。
ここは文字以外Unityで作っていて、「プレス機がリズムに合わせて動いて、パズルのピースをプレスしたら煙が出る」みたいなプログラムも組んでいます。
動画を作る時もプログラムを組んだ方が手っ取り早い部分は多々あるので、その方が早そうな時は躊躇なくプログラムコードを書きました。
サビ
サビはいろんなパズルのピースを無責任に穴に投げ込む悪そうな猫っぽい生物が登場します。
ここも文字以外はUnityで作っており、猫のイラストはAIに描いてもらったものを加筆修正しました。
猫の腕は機械仕掛けのように跳ね上げるような動きにしたくて、腕を別イラストにして肩のあたりに回転軸を仕込んでバネのようにびよんびよんと腕を動かしました。
サビの終わりにあの穴が一体なんだったのかという想像の助けになるシーンを入れました。
ここからぐわっと下に落ちていくような演出も、Unityで縦長のステージを用意してカメラを落としていく様子を収録したものです。
2番のAメロ
1番のAメロで見たような映像ですが、少し被写体にカメラが近づいていて落ちるパズルの量が増えています。
ここまで見てくださった方にはパズルがどこからどのように降ってくるかなど少しわかっていることが増えているので、さらに想像力が広がってくることかと思います。
Unityはこういうパズルが落ちてきて物に当たると自然に弾かれるみたいな物理演算を使った表現を得意としていますのでほぼそれにお任せ状態です。
2番のBメロ
1番と同じシーンなのですが圧倒的に流れてくるパズルの量が増えています。
まったく処理されずにすすっとすり抜けていくパズルもあり、これは不良品と呼ばれるのかもしれませんが大切な個性となるべくピースなのかもしれません。
ベルトコンベアの部分のスピードをあげすぎてチラチラと隙間が見えてしまっており、その時はまぁいいかと思ったのですが、出来上がったものを眺めるとあまりまぁよくなかったかも…
自分の趣味の範囲内での作業だからこそゆるされる「まぁいいか」なので、お仕事だとこういうまぁいいかはダメですね。
2番のサビ
1番のサビと同じシーンですが猫さんの数がだいぶ増えています。
これはこの曲のテーマともなるシーンでして、この猫さんたちがどういう存在なのか見る人それぞれでいろんな解釈をしてもらえたらなと思います。
たくさんの野次馬たちが「もっとやれ」って最初の猫を煽っているのかもしれませんし、左の白い猫さんは正義感でつっぱしってパズルのピースを止めようとしているけどその結果として余計にたくさんのピースが穴に落ちちゃってるのかもしれません。
どちらにしても、下でパズルのピースを受けている主人公猫(?)にとってはいいことではないのかもしれません。
自分に足りない何かを探している時、選択肢はたくさんあるのに自分にはまるものがまったく見つからず、選択肢が多いからこそ苦しんでるみたいな経験がある人もいるのではないでしょうか?
降ってくるピースがどれも自分にはまらないのに、降ってくる量だけはひたすらに増え続けているから何もできないかのようなこの状況と重なる部分も多いかもしれません。
曲の歌詞のダイレクトな部分以外に、映像で想像力を働かせてもらうのって表現としてはとても楽しいなと思いました。
アウトロ
最後に一つのパズルにスポットライトが当たって、それがゆっくりと落ちていくのをアウトロのギターソロと一緒に眺める感じになっています。
このくるくる回るパズルのピースもUnityで作っていますが、パズルのピースの裏面を表現するのに少し手間がかかっています。
薄く透明な3Dオブジェクトにパズル表面の画像を貼って、裏側に裏面の画像を貼って擬似的な3Dモデルを作ってくるくる回しています。
パズルのピースのようにさほど厚みのないオブジェクトだからこそできる逃げ技で、本来なら3Dモデルを作って動かすのが正解だと思います。
このパズルのピースは一体なんなのか、何か大切なものなのかもしれませんし、Bメロのプレス工場でプレスされずにうまくすり抜けたパズルのピースかもしれません。
もしかしたら、そもそもこの物語の輪からも外れている全く別の何かかもしれません。
ここまで聴いてくださった皆様の中でいろんな解釈が出ると思いますがたぶんどれも正解です。
永遠に落下を続けると思われたパズルのピースが最後は床に着地して、カメラはそこよりももっと下へ落ちてゆきます。
最後にタイトルとクレジットがどんと表示されます。
「Im」が黄色になってるのも何か意味があるのかもしれませんしないのかもしれません。
まとめ
初めてUnityで動画を作ってみたのですがとても楽しいですね!
手間をかければそれだけ色々な表現ができるので、Unityが映像制作の選択肢の一つになるのは間違いありません。
今後もコンスタントにこういう映像制作を続けてゆきたいなと思いますので、目にすることがあれば再生してみてもらいたいです。
Youtubeチャンネルは作ったばかりであまり手が回っていないのですが、これから月一ペースでいろんなオリジナル音楽をアップしていこうと思っています。
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楽曲解説はこちら
https://music.koneko-wakusei.com/music/imperfect/