
概要
「バルクアーム・グランツ」は、コトブキヤのオリジナルプラモデルシリーズ「ヘキサギア」の二足歩行型の大型メカです。
1/24スケールのフィギュアと組み合わせて遊ぶことができ、最大の特徴は人型からビークルモードへほぼ差し替えなしで変形する点です。
無骨ながらもスタイリッシュなフォルムが個性的な魅力を放っています。
■「ヒューマノイドモード」から「ビークルモード」へのシステムコンバートが可能。
※シールド、ライフル、アシストホイール位置固定パーツは差し替えとなります。
■シリーズ初の完全密閉型コックピットを搭載。実際に別売りのガバナーを搭乗させることが可能です。
■付属の手首パーツはM.S.G ハンドユニット ワイルドハンドと同じデザインながら一部パーツ形状を新規設計し、より安定したウェポンの保持を可能にしました。
■アシストホイールのタイヤ部分はPVC成型となりリアル感を追及、フレーム部に伸縮機能を備えておりポージングに合わせて接地面までの距離を調整することができます。
■ライフルのマガジンは取り外しが可能、マガジン側には弾薬のディテールが施されています。
■全身のヘキサグラムシステムにより、発売中のヘキサギアと自由に組み合わせて様々なシルエットのメカを構築することが可能です。
■機体脛部分に格納されたリトラクタブル・ヘッドライトはビークル時に展開することができます。
■機体後部のテールライトはクリア―オレンジとクリアーレッドで色分けされています。
付属品
■バルクアーム・グランツ本体×1セット
■ライフル×1
■シールド×1
■手首3種(握り手・武器持ち手・平手)各左右分
■アシストホイール位置固定パーツ×2
■アーカイブカード×1
メーカー | コトブキヤ |
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価格 | 7,480円(税込)6,800円(税抜) |
発売日 | 2019年8月下旬 |
スケール | 1/24 |
製品サイズ | 全高 約180mm |
製品仕様 | プラモデル |
パーツ数 | 201~400 |
素材 | PS・PE・ABS・PVC(非フタル酸) |
対象年齢 | 15歳以上 |
機体解説
機体登録名称「バルクアーム・グランツ」
世代区分を「2.5世代」とされる本機は、バルクアームシリーズのデベロッパーであるMSGではなくサードパーティーであるマクスウェルギアーズが独自に開発したものである。
兵器としての在り方を考慮せず、第二世代が指標とした「人型重機の限界を追及する」ことをコンセプトに設計者の理想とする姿を投影した本機は、野心的技術を多数導入しつつ予備機を含む少数が製造され、一部は実戦にも投入された。
設計上の特徴として、防御力を代償に軽量化を行い、加えて機動力向上のための「アシストホイール」を仕様に盛り込んだことで二足歩行型でありながら高い機動性と運動性を実現した点が挙げられるが、これは結果として“機動性は歩行ではなく装輪等別の手段によって確保する”という機体構築における一つの結論に至ったとも言え、ある意味で第二世代の終焉を後押ししたとも言われる。しかし、この機体で初めて採用された「システムコンバート」は第三世代「ゾアテックスヘキサギア」でも多くの機体に標準搭載される機能となり、ヘキサギア開発史に残した成果は大きい。
また、新技術として「BMIグラムサイト」が開発中であったブレインマシンインターフェース、通称「BMI」を試験導入しており、いくつかの課題は残すものの高精度な作業肢(マニピュレーター)制御を実現し、様々な外部機器を接続規格を問わず自在に扱うなど、より人間に近い動作を獲得している。標準仕様での武装はライフル、内蔵式の小型レーザーカッターのみと決して高火力とは言えないが、本来ヘキサギアは単独で完結するものではない。ヒトと同じく幅広い外部機器によってその特性を大きく変えるのである。
余談だが、設計者は自らを古典コミックマニアであると明言しており、その趣味を多分に反映した外観デザインとなっているため試験運用にあたった部隊からは「過分に趣味的なデザインで戦闘には不適である」というレポートも提出されている。
しかしながら、原始的な刀剣類をはじめガバナー同様に銃器を扱い、戦場を高速で駆ける「鋼鉄の巨人」は人々の記憶に強く残り、人型重機を熱望する投資家やガバナーを多数生み出している。その結果は世界中に残されたレプリカやイミテーション、アレンジモデルの数が物語っている。搭載武器
https://www.kotobukiya.co.jp/product/detail/p4934054058044/
■ライフル ■シールド ■アシストホイール ■超硬度マニピュレーター ■内蔵式小型レーザーカッター
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パッケージなど

泥臭くハードボイルドな世界観が伝わってくるパッケージイラストで、バルクアームシリーズの進化の過程も感じられるデザインになっています。
高額キットの部類なので箱はかなり大きい一方で、1/24スケールということでパーツは大きめでしっかりとしたものが多いです。
ブロック玩具のようなキットとというコンセプトなので、この頑丈さが遊びやすさにつながっています。




箱が大きくて撮影スペースが確保できなかったので、一部のみ抜粋です。
変形の仕組みが想像でき、ブロック単位でパーツが掲載されているのも面白い。
6角形のいわゆるヘキサ穴と5ミリ軸が中心になっていますが、実は3ミリ規格との互換性も高いキットで、ヘキサ穴や5ミリ軸を3ミリに変換するパーツなども付いています。(このキットでは余剰パーツ扱い)
なので、コトブキヤのMSGシリーズやメガミデバイスなどの美少女プラモデルはもちろん、他社の3ミリ規格のパーツを組み合わせて遊ぶこともできるのです。
キットとしてのデザインも完成度も高いのですが、ブロック遊びのような汎用性があるのは本当にすごい。
つづいて、ランナー類をまとめて。
必要十分に色分けされているキットで、クリアパーツが3種類使われていたり、タイヤがゴムっぽい素材(PVC)だったりと、質感もバッチリです。
















パーツ数は多いのですが、パーツがどれも大きめなのでとても組み立てやすいキットでした。
対象年齢15歳以上とのことですが、組み立て難度だけで言えば時間さえかければ小学校高学年の子でも組み立てられる子がいそうでした。

2019年のキットなので、今基準で見ると少し古い印象を持つかもしれませんが、スライド金型なども使われており、コトブキヤ特有のパーツのシャープさとかっちり合う気持ちよさみたいなのは、この時点ですでに完成した技術になっていますね。
余談ですが、コトブキヤのプラモデルって生産は中国っぽいんですよね。
「プラモデルの生産技術は日本が進んでて、だからバンダイのプラモデルとかは組み立てやすい」みたいな先入観があったのですが、きちんと品質管理できれば別に日本じゃなくても良いキットが作れるんだなって再認識。


説明書は冊子になっていて、オリジナルキットならではの機体説明や世界観の解説などが充実していました。
説明書の提案のように、このキットをオリジナルカラーで塗るのもめちゃくちゃ楽しそうだ!
ヒューマノイドモード

ずんぐりとした独特の体型ながらも、スタイリッシュさを兼ね備えているレベルの高いデザインだと感じました。
ロボとしての分類はボトムズ的なやつで、上半身全体にパイロットが収納されるデザインです。




二足歩行ロボのようなデザインですが、タイヤ部分を後ろ側に伸ばして接地させることができるので、立たせても安定感抜群です。
高さがおよそ18センチ、それに比例して重量もあるキットなのですが、この安定感と重心の低さのおかげで「ひっくり返っただけで大破」という事故は避けられそう。

どの家庭にも一つはある「RGガンダム Ver2」と並べてみました。
ガンダムは1/144スケールなので、グランツはMGの重装MSくらいのサイズはありそうです。

ずんぐりとしたシルエットからの印象とは違い、頭部はシャープでスタイリッシュかつヒロイックなデザインです。
長く飛び出したひさしが特徴的で、パーツによる色分けも細かく、組み立てるだけでこのかっこよさ。
胸の両サイドにある丸穴は、スケールに比例してけっこう大きいので腕に自信がある方はピンバイス等で開口してあげても良いかも。

腕のデザインが独特で、前腕部分は外側のシールドのようなところが基部になっていて、そこに横から肘関節や手首を差し込む仕組みになっていました。
この接続はヘキサ穴や5ミリ軸なので、大型キットでの汎用性も保持力を兼ね備えています。

肘関節は内側から見るとデザインあり肉抜きになっていて、見た目のが気になる方もいるかもですね。

本体後ろ側のテールランプとウインカーのような部分は2色のクリアパーツをはめ合わせるようになっているのですが、ここがきっちりと合って組み立てていてかなり気持ちの良い部分でした。
ゲート処理を雑にしちゃったのでゲート跡が目立ってますが、この辺りを綺麗に処理してあげるとさらに見栄えが良くなりそう。

タイヤはゴムっぽい素材でパターンもしっかりと刻まれています。
質感は最高なのですが、すこし埃がつきやすいのが難点です。


タイヤ関係を外すなどのアレンジもしやすいです。
軸がしっかりとしているので、折れちゃうとかへたり易いとかの心配もなく、大きいけどガシガシ遊べるのはかなり楽しい。
タイヤがついていると分かりにくいのですが、立膝もできるくらいの可動範囲です。



このキットの特徴のひとつは、コックピットハッチを開けてパイロットを搭乗させることができるという点です。
頭部の後ろ側にあるバックパックのようなところの上が空いて、そこに1/24スケールフィギュアを載せることができます。
ヘキサギアシリーズは、別売りで1/24スケールフィギュアも展開されていおり、それらを乗せる想定ですが一部キットは形状の関係で乗せられないものもあるそうです。
ヘキサギアの1/24フィギュア(というかプラモデル)もとても面白い商品なので、機会があればご紹介したいです。

コックピットは少しゆったり目にできているので、スケールや形状の近い他社商品も搭乗可能です。
この記事の最後でご紹介しますが、アクアシューターズやガシャポンクエストなども工夫すれば搭乗可能なものもあります。

ずんぐりプロポーションなのにしっかり動いてくれるので、ガシガシ遊べるロボットフィギュア感覚で触れるのが楽しいですね。

ハンドパーツは一部が新規造形の「ワイルドハンド」です。
このワイルドハンド、造形は良いのですが手首につける軸パーツや親指パーツが抜け易いという欠点があるので、遊びにくいと感じたら接着した方がいいかもしれません。

後ろ側のタイヤは伸縮可能で、位置決めの柔軟性がかなり高いです。
なので、ポーズをつけながら機体を安定させて立てるということも可能です。


くるぶしについている前輪もある程度動かせるので、直立したまま四輪駆動みたいな見せ方もできますね。
このタイヤ部分は可動の妨げになり易いところではありますが、自由に逃すこともできるのでポージングの幅はかなり広いです。

接地の良さを生み出しているのは足首の可動範囲の広さもあり、チルトやスイング時に装甲部分と干渉しにくい構造になっているのがすごい。
一見、動きそうにないずんぐりキットなのに可動範囲などとてもよく考えられています。
気になる点としては、股関節の保持力が少し緩めなので、ツルツルした素材の上で脚を大きく広げちゃうと、自重も手伝って股が割れやすくなっています。
ただ、タイヤのグリップでそれをキープすることもできるのでほぼ問題ないですね。

腕の付け根の後ろ側に変形時のロックに使うサポートパーツをつけることができます。
説明書ではヒューマノイドモードの時には取り外しが案内されていますが、つけたままでも支障がないので紛失防止も兼ねて私はつけっぱなしにしています。

武装はライフルとシールドです。
ライフルはマガジンが抜ける以外はギミックなしのシンプルな構造です。
シールドは中央部がスモーククリアになっており、変形時の要となるパーツです。
Zガンダムもそうですが、シールドが変形時の要になる系のメカはシールド破損にめっちゃ気を使いそう笑

シールドの接続パーツはヘキサ穴規格で、接続位置は柔軟に選べます。
六角なので軸で回すようなポーズ付けはできません。

あとは、固定武装として前腕にレーザーカッターが仕込まれています。
バルカン砲か何かかと思ってたのですが、レーザーカッターだそうです。
まとめて何枚か。





動かし方に少しクセがあるキットですが、思った以上によく動いてくれます。
腰の前後スイングなど、変形の都合で稼働軸がある部分も使えばかなりダイナミックなポーズも取れますが、キット自体の重さがあるので無理なポーズで長時間飾るのはおすすめできないです。
ちなみに、少し余剰パーツが出るのですが、バルクアームの腹部カメラみたいなのを組み立てることができます。
3ミリ接続なので汎用性が高いオプションパーツになりそうです。
その他は、ヘキサ穴や5ミリ穴を3ミリに変換できるパーツやポリキャップが余りました。
ビークルモード
戦闘車両モードに変形もできます。

人型のずんぐりとした印象からはガラッと変わって、薄目で綺麗なフォルムにまとまります。



ロック機構は後輪と胴体を繋ぐ箇所など一部のみで、細かな部分は手作業での微調整ですが、関節がいい感じに硬いので決めた位置からふにゃふにゃ動くことはありません。
ほんと、気にせずガシガシ遊びやすいのが素晴らしいです。

変形ギミックはシンプルな部類でおおむね想像通りの動きなのですが、頭部が回転しながらにゅわんと前に出るのが面白かったです。

頭部が先頭についているのが可愛い気がしますが、もうちょっと隠れてもよかったかも?
正面衝突したら一番大事そうな頭部が大破しちゃう笑

ヘッドライト(?)はぱかっと開けるようになっていますが、ここはやや緩めで油断すると勝手に戻ろうとすることがありました。
でも、ロボの膝にこのギミックが仕込まれてるのが面白い!


もちろん、ビーグルモードでも1/24スケールのフィギュアは乗ったまま変形できます。
フィギュアが乗ったままで、厚さを抑えたスタイリッシュな戦闘車両に変形できるのはほんとすごい!
時間をかけて設計したんだろうなってのが伝わってきます。
組み合わせ遊び
1/24スケールって7センチ前後のフィギュアなんですよね。
これくらいのスケールでお馴染みの可動フィギュアは、アクアシューターズやガシャポンクエストですね。
ということで、先述のアクアシューターズなどとの組み合わせ例です。

コックピットブロックのみを取り出してみましたが、アクアシューターズはこんな感じでかなり綺麗にフィットします。
スカートタイプのフィギュアだと太ももが前に出せない関係で綺麗にフィットしないので、スカートを脱がせるか、スパッツタイプの素体を使うのをお勧めします。

アクアシューターズなど頭の大きなフィギュアを載せる場合は、シートのヘッドレスト部分を外すのが良いでしょう。
スライドするだけで簡単に外せるのでありがたいです。



髪型などにもよりますが、アクアシューターズはしっかりとコックピットの奥まで脚を伸ばさせれば無改造でほぼ座ることができ、ハッチを閉めることもできました。


一方で、ガシャポンクエストの標準的素体は無改造だとちょっと厳しかったです。
脚をしっかり奥まではめて、腕なども収納しましたが…

ハッチを占めるのは難しかったです。
コックピットに座らせる時は下半身を抜いちゃうなど、大胆に割り切れば組み合わせて遊べる気もします。

ハッチをずっと開けたまま遊ぶのもありかもしれませんね!
今月発売の、リンクトラベラーズと組み合わせ遊びができれば、世界観も近そうで素敵なんですがどうでしょうか?
[追記]
話題のリンクトラベラーズも乗せてみました。




レジスタンスの少女だと、コックピットのヘッドレストを外して、後ろ髪とリボンを外すだけで無改造でほぼハッチが閉まりました。
レジスタンスのリーダーはさらに小柄(スリム?)なので、こちらはほぼそのまま搭乗させてハッチを占めることができました。
これは遊びやすいですね!
まとめ

発売から5年以上経つのですが、古めかしさがなく組み立てやすいキットでした。
大きさに比例して、がっしりと頑丈な作りになっているので、ガシガシ遊ぶにも良いキットです。
ただ、重量はそれなりにあるので高いところから落としちゃうと大破しそうですね。
想像以上のプレイバリューを秘めている変形キット、3ミリ軸の商品や1/24スケールの商品と組み合わせて遊ぶのも大変楽しいので、これ系がお好きな方は最初の一体にしても良いかも。
それくらい満足度が高いおすすめキットでした。
ヘキサギアシリーズの中で不人気の部類なのか、このキットは大きく値引きされてることが多く4000円台で売られているのを目にすることもあります。
ご予算だけがネックな方は、セール情報などこまめにチェックしてみてください。