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映画「ポッピンQ」感想レビュー

2017/1/16 - アニメ・漫画, 映画

多方面にアプローチした結果、全方位に薄くなった残念な映画…
と思いきやこれが結構名作なんです

青春、友情、アイドル、ダンス、異世界、魔法少女、特殊能力などのキーワードをぶっこみ「大人から子供まで楽しめる」をテーマにしたであろう東映アニメーション創立60年記念のオリジナル作品がポッピンQです。
王道テーマから最近人気のテーマまでこれでもかというほどつめこみ多方面へのアプローチを試みた映画でしょうがその結果、全方位に薄っぺらくなってしまったとーってもモヤモヤする映画です。


公式サイトより

ところがこの映画はそれでいてとても面白い不思議な映画です。

あらすじ
様々な悩みを抱えるそれぞれかかわりのなかった5人の女子中学生がひょんなことから異世界に召喚されます。
その世界はポッピン族という小動物のような生き物が「時間」を管理していましたが謎の敵対勢力がその「時間」を支配しようとしています。
異世界の時間が支配されると主人公たちの世界の時間も破壊されてしまう、これを防ぐためには主人公たちが心を一つにしてダンスを踊らなければなりません。(謎)
ダンスで異世界を救うため主人公たちの苦難が始まります!

というそれだけ聞くとなんとも珍妙なあらすじです。
これは大人の思考を止めて「そいう言うものだ」と流したほうが幸せに楽しめる部分でしょう。

キャラクターの魅力
とにかく黒星紅白さん原案のキャラクターが可愛い!
映画は絵がきれい、登場人物が魅力的という部分だけで面白さの6割くらいを持って行けると思うのですが、この映画もしっかりその辺を固めてきてくれます。
動くと魅力を増すというのは制作陣がキャラクターに命を吹き込めている証で、これができるかどうかが映画の印象を大きく左右するのですがこの点は大成功でしょう。
制服とダンス衣装が可愛いのですがもうひとつ注目なのはモコモコの民族衣装のような保護衣装です。
異世界にいると体力を消耗するけどそれを保護する目的というような衣装なのですが、遊牧民のような衣装は異世界の雰囲気に溶け込んでいてこれも見どころの一つです。

5人の主人公たちはまさにテンプレのようなキャラ分けですが、ありがちな分すんなりと自分の中に入ってきてくれました。
ちなみに、私の推しキャラは沙紀ちゃんです。

公式サイトより

楽しむためには深く考えないで!勢いに飲み込まれて!

この作品は子供もターゲットにしているため脚本がとてもわかりやすく作られていますが、それがあだとなり大人が深く考えてみると様々な疑問や矛盾があふれ出てきます。
しかし、キャラクターの魅力は強いしシーンを切り出してみると熱く感動的なシーンも多く涙してしまうシーンも…
細かいこと考えずにこの世界と勢いを受け入れて飲み込まれたら本当に楽しめる映画です。
この辺りはズートピアを楽しめた方には同じような楽しみ方だと思えばイメージしやすいかと!

主題歌にも注目!
「全方位に薄い」という印象の通り、初見では主題歌も薄い印象を受けました。
華が足りず、これ系の作品に盛り込まれがちのボーカルの熱さがないちょっとけだるい感じだなーと思っていました。
ところが、このソフトで薄い感じの楽曲は3回目聴いた以降は聴けば聞くほどどんどん好きになっちゃいました。
音楽業界では「スルメ曲」というのですが、はじめはパッとしないけど聴けば聞くほど味が出て好きになる、そんな感じの名曲です。

結局、自分はCDを買っちゃいました…
お時間あれば皆様にもぜひ3回聴いてみてもらいたいです!

名作に化ける予感!
この作品、名作に化ける要素がたくさんあるのに冒頭でお話しした「多方面へのアプローチ」があだとなって「薄い」と感じられることも多いと思います。
個人的には以下の点が改善されれば名作に化けたなと思います。

★尺が足りなくて感情移入が追い付かない
2時間たらずの時間にたくさんの要素をまとめているので全体的に尺が足りません。
登場人物は多いのに彼女たちの性格や魅力を消化する前にどんどんお話が進んで、劇中の心情変化に見ている側がついていけてないケースも…
「きみらいつの間にそこまでの友情をはぐくんでたの!?」という印象もちらほら。
地上波で15話くらいの作品にまとめるとこの辺りが解決して感情移入しやすいかも!

★脚本のターゲットを絞ったほうがよいかも
「子供から大人まで楽しめる」というのは子供には少々難解で大人には物足りない結果になったと思われます。
これは思い切って中高生以上をターゲットにしたほうが良いのではないかと思いました。

★肝心のダンスシーンが溶け込んでいない
歌に合わせて踊るこの作品のメインのシーンの立ち位置が不明です。
というのも、歌は流れるけど主人公たちが歌っているわけではなさそう(踊っているだけ)、では一体誰が歌っているのだろうという疑問が生まれ、メインシーンであるにもかかわらず作中から完全に浮いている印象がありました。
歌も彼女たちが歌ってるという設定でやっちゃったほうがすっきりしたかも…

エンドロールが終わっても席を立たないで!
エンドロールが終わると続編の予告ともとれる後日談がしっかりと放映されます。
本編のモヤモヤを若干消化できる部分もあるのでエンドロールが終わってもぜひスクリーンを見ておいてくださいね!

なんだかんだ言って大好きな作品になりました
意地悪な目で見ればプロモーションの都合によるあらが多い作品だと思いますが、素直な気持ちでみるとキャラクターも魅力的で温かくて素晴らしい作品だと思います。
アニメ映画が豊作だった2016年のダークホースであったとおもうのですが、成功したとは言い難い全方位アプローチのおかげでアニメファンからの評価は低めで、上映の勢いもなく商業的にも成功とはいえないようです。
しかし、こちらが作品の世界観を受け入れてテンポや勢いに飲まれてしまえば熱いものがもらえる良い作品になってくれる思います。
公式が冒頭17分くらいを丸ごと公開していますのでこれを観てこころに引っかかるものがあればぜひ本編すべてをみてみてください。

続編があるかどうかはとても心配ですが私は楽しみに待っています!
世間の評価は高くないけど食わず嫌いはしてほしくない映画です。

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