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[レビュー]MODEROID オーガス(グッスマのプラモデル) 後編

2024/2/2 - ホビー, レビュープラモデル , おすすめ度★★★★☆ , グッスマ

後編ではオーガスの4種の形態をそれぞれ見てゆこうと思います。

前編はこちら

くるくる動画

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フライヤー

4段変形のオーガス、どういう順番で紹介したらいいかを考えましたが今回は空に近い方から地上に近い方に向けて紹介してゆきましょう!
ということで、まずは飛行形態のフライヤーから。
撮影のためにスタンドを使用していますが、このキットにはスタンドが付いていません。

昆虫のような丸いぷっくりとしたフォルムが特徴的で可愛らしさすら感じられます。
変形時のロック機構などがまったくないので、変形が決まりにくいという気持ち悪さがあります。
こういう丸っこいフォルムなので仕方ないかもしれませんが、最近はロック機構でかっちり形状が維持できる変形が多いのでモヤモヤします。

このキットに対してはけっこうネガティブに感じる部分が多いのですが、メーカーが優先したことと私が期待したことに食い違いがあるからだなと理解しています。
メーカーとしては「フォルムと完全変形を最優先にした上級者向けキット」なんだと思うのですが、私が期待していたのは「(高額キットの部類だから)令和の最新フォーマットで変形も可能で、奇跡的に可動範囲も確保できている組み立てやすいキット」だったんですよね。
「流石にそれはないだろう」とは理解できていたので、ハードルを下げて待っていたのですがそのハードルよりもさらに低いところに来ちゃったなという印象です。
もちろん、キットとしては悪いものじゃないのでニーズのアンマッチという意味で。
ネガティブな気持ちは価格を考えた時に強くなるので、これが定価5000円くらいのキットなら大満足していたと思います。(実際は税込定価7000円)

さて、それを踏まえて本題に戻ります。

形状を丁寧に整えたつもりなのですが、撮影してみると部位ごとのずれや歪みが出ちゃってますね。
もう一つ残念だったのは翼が薄すぎて曲がっちゃってるところです。
薄さを優先した結果なのでしょうが見栄えがあまり良くはないです。

このキットはこだわらなければ差し替えなしで完全変形してくれるキットなのですが、見栄えを優先するためにコックピットのサイズアップパーツが付いています。
たしかに、コックピットが大きい方が見栄えがいいのでこのレビューでは見栄え優先パーツを装着させています。
元々あるコックピットにカバーのように被せるだけなので装着もお手軽でいいですね。
一方でこの仕様のせいかコックピットの内部などは一切再現されていません。
そこそこのサイズのキットなので「内部のないコックピット」が目立ってしまい残念だったポイントです。

変形が決まりにくくバランスも取りにくいので、フライヤー形態を床に置いて飾るのは難しいです。
スタンドがあった方がいいキットですが付属のスタンドはありません。

股関節の裏側に水平方向の3ミリ穴が空いていますので、ここに3ミリスタンドを接続して使いましょう。
ちょっと奥まったところにある穴なので接続部分がスリムで長いものの方が使いやすいのですが、ここに接続して穴の向きを変えるアタッチメントがついているのでスタンドの形状に応じて選択してください。

裏側から脚部を避けてみると、腕が綺麗に収納されているのがわかります。
ただ、やはりロックとかないのでプラの弾性で少し戻ろうとする力が働くのでベスポジにセットするのはなかなか難しいです。

オーガスの腕の部分の変形って実はけっこう複雑なんですが、少ないパーツで強度を保ちながらそれを再現しているのは本当にお見事!
パーツの合わせ具合等の不満は感じるのですが、キットの構造としては感心する点も多いです。

翼裏にはブースターやミサイルがつきます。
ミサイルの肉抜きがちょっと気になります。

ミサイルやブースターは細長いスリットに接続するようになっていますが、スリットの形状がそれぞれ違うので入れ替えることなどはできません。
ミサイルやブースターの角度を変えることができないので、これらが真っ直ぐ向く方向に翼をセットするのが正解っぽいです。

太もも部分を横から見るとパーツの合わせ目がかなり派手に目立つのも残念でした。
そもそも噛み合わせがあまり良くなくて隙間が開きやすい上、エッジが丸っこくて黒く塗られていない端っこの白い面が見えるのでかなり目立ちますね。
合わせ目を消そうにも塗装済み部分ですしここはかなり悪目立ちして中途半端な仕様になっちゃってますね…

フォルムは好きなんですけど仕様的にもうちょっとなんとかなったんじゃないかなと思っちゃいました。

ガウォーク

バルキリーを筆頭にこれ系の機体の魅力ってやっぱガウォークですよね!
個人的にはけっこう好きなフォルムですが、フライヤーと同じく主翼が曲がっているのが気になります。

こちらもロック機構などがないので変形がバッチリ決まらず調整が難しいです。
両前腕だけでもロックできたら決まったのにかゆいところに手が届かない感じです…

ガウォークは股関節のフレームを左右に引き出して足幅を広くするのですが、股関節の付け根の部分に大きな隙間感が生まれます。
ここを専用の目隠しパーツで覆うと見栄えがよくなるのですが、このパーツがちょっと装着させにくいので自分は一度試してから二度目はつけなくなりました。

ドレスアップパーツをつけない場合なのですが、股関節フレームに空いているパーツ接続用の穴が悪目立ちしてしまいます。
気になる人はドレスアップパーツをつけた方がいいのですが、このキットは細かいこと気にせずにガシガシ遊ぶのが正解かもです。

膝上にロール軸がついているので脚は思いのほかよく動くのですが、足首があまり動かないので接地はよくないです。
脚の曲げ具合次第で長さも変わって見えるので、自分好みのガウォークを模索できるのが面白いところです。

脚以外は動かないながらも、このキットで一番触っていて楽しいのはガウォークかも?

非公式な話ですが、無理やりながらも腕出しガウォークっぽくもできました。
この状態では腕がほとんど動きません。
けっこうかっこよく見えるので、腕がもう少し動けばかなり楽しかったかも?

オーガロイド

このキットの目玉であろう人型形態です。
ぱっと見は良さそうに見えるのですが、結構難点も多いのがオーガロイドです。

クリアパーツは光をしっかり集めてくれるので見栄えがいいですね!
先にお話ししたように、顔の側面を曲げてしまって白化したのが少し辛い…(笑)

動きそうで動かない、見た目もなんだか「隙間が多い」と感じちゃう形態でした。

肘や膝周りに令和のロボットキットとは思えないくらいの大胆な隙間が見えています。
ここに限らずなんだか隙間が多いキットで、完全変形重視の結果こうなったんだと思いますが肘などはシンプルな1軸可動なのでもうちょっとなんとかできそうという気持ち。

ちなみに、膝にあるクリアグリーンのライトのようなパーツは茶色のパーツを選んで組み立てることができます。
後から気軽に変えられる部分ではないのでどちらか固定選択だと思った方がいいかも。

脚横の黒い排熱部分(ブースタ?)は裏側から別パーツをはめる感じで、適度なシャープさもあり気合が入っていました。

腰回りの隙間感を軽減する補強パーツが付いています。
これがあれば腰回りのスカスカ感が軽減されるものの、これをつけなければ腰を後ろにスイングさせることができるのでお好みで。

ただ、基本的にこのキットは腰が動かないので可動に関しては期待しない方がいいです。

私の組み立て方が悪くて(というか、多くの人が失敗してそう)コックピットのカバーが上手く閉まらないのも残念な点でした。
コックピットには引き出し機構があるのですが、引き出しのための軸が硬すぎて組み立てて後だと動かせなくなっていました。
分解して調整しようにもいろんなパーツの硬い挟み込みを重ねた後なので分解がとても大変…
もしもこのキットの難点がここだけなら頑張って分解したのですが、正直ここだけが治ってもという感じだったので私はとりあえずこのままで。

コックピットの引き出し機構はA4パーツの赤丸部分の楕円リングの動きが重要です。(赤丸部分は同じパーツ)
普通に組み立てるとここがスムーズに動かないかもしれないので、組み立てる時はここがスムーズに動くか馴染ませながら確認した方が良さそう。
なんならこのリングに通す軸を削ってもいいくらいかなと思いました。
ここは組み立ててしまうと分解がめちゃくちゃ難しくなる場所なのでご注意を。

ギャラリーで何枚か。

腕が意外と動かなくて、腰も回らないのでパッケージイラスト再現も難しいですね。
完全な人型ではないので可動範囲にクセが出るのもわからなくもないのですが、バンダイやコトブキヤならこういう妥協はしなさそうかな…

可動は期待せずに変形シークェンスを楽しむのを主目的にした方が良さそうなキットです。

タンク

最後はオーガスの特徴でもあるけど影が薄い(?)タンク形態です。
この形態のおかげで4段変形を名乗れるのです(?)
人型がポーズを変えただけにも見えそうなのですが、独特の力強さがあっていいですね。

脚横のユニットがくるっと180度回転して体を後ろから支えるような態勢になっています。
脚横の赤いラインは上質なシールで色分けされますが、その下の設定では黒い部分が色分けが省略されています。
気になるなら塗りますかね…

普段は色分けシールを貼らないことが多いのですが、今回はシールの質感が良かったので貼ってみました。
間延びした感じが減って全体がしまって見えるのでいいですね。

4段変形は楽しかったし少ないパーツ数で再現できているのはお見事でしたが、組み立てに失敗しちゃったなという感じが強いキットでした。
調整すべきところをしっかりと調整しながら組み立てたら適度な強度もあってガシガシ遊べそう。
でも、ガンプラ感覚で素直に組み立てちゃうと硬すぎて動かないみたいな場所も出てきて、気をつけながら動かさないと壊れそうなキットでした。

まとめ

MODEROIDシリーズは比較的高額なプラモデルで、オーガスも定価だと税込7000円です。
価格に相応しい品質かと言われると正直疑問で、普通のメーカーが出さないニッチな商品(=そもそも大量に売れるものではない)という付加価値込みのお値段設定だと思います。
これが令和の最新作ですと言われるとびっくりしちゃって、ハイクオリティな最近のキットというのを期待するとがっかりするかも。
「簡単なキットではなく、調整しながらの組み立てが必要」という前提を理解してから組み立てれば事故も少ないと思うのですが、ガンプラ感覚で組み立てちゃうとリカバリの難しいミスに遭遇しやすい上級者向けキットといえそう。

組み立てながら「バンダイやコトブキヤがこの価格帯で出すとなると、ここは別パーツで色分けするだろうな」「もっと組みやすくてパーツの精度も高いだろうな」「ここの隙間は隠す工夫をするだろうな」「もっと工夫して可動範囲を広げてるだろうな」など、いろんな”もしも”に付き纏われながら組み立てていました。

ただ、悪いところばかりじゃなくて、少ないパーツ数で完全変形できるという点は意欲的で優秀だと思います。
可動範囲の小ささに関しても完全変形とパーツの少なさを優先した結果だと思います。
何よりもこの時代にオーガスのプラモデルが出ただけで嬉しい人も多いと思います。

オーガスが好きな人にとっては今の時代に変える完全変形するプラモデルはこれしかないのでオンリーワンの価値がありますが、なんとなく手を出してみようかなという人には別の商品をお勧めします。

MODEROIDはニッチな商品化を売りに戦っているのかなという印象なのですが、これくらいのクオリティでこのまま戦い続けるんだろうか…
いくつか気になる商品もあったんですが、価格と品質のバランスから考えると私はこのシリーズは遠慮したいなという気持ちになりました。

気持ち的には星3くらいなんですが、替えの効かないニッチなファンアイテムという意味で星4かなと思います。

これから購入したり組み立てたりする方は、「しっかり動きや噛み合わせを調整しながら組み立てる」を心がけてください。


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